公開日時 2025年08月03日 05:00

西崎 寿美外務省国際協力局審議官(前沖縄振興開発金融公庫理事) 「やんばる」に魅せられて
沖縄公庫理事の西崎寿美さん

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琉球新報朝刊

 「ジャングリア沖縄」が先週末オープンした。全国メディアでも特集が組まれるほどの盛況ぶりだ。「世界自然遺産『やんばる』を擁する沖縄北部の圧倒的な大自然を舞台に、都会にはない興奮と贅(ぜい)沢(たく)の体験を通して沖縄の旅を変えるテーマパーク」とうたわれている。商圏は「飛行機で4時間圏内の20億人」。沖縄初の大型テーマパークが「海」ではなく「やんばる(山林)」をテーマとしていることが興味深い。やんばるが世界に通用する魅力を備えているとの見立てであろう。
 やんばるの魅力とは何か。まずは生物の多様性であろう。やんばるの面積は日本の0・1%に満たないが、日本全体で確認されている鳥類の約半分、カエルの約4分の1が生息している。希少な固有種、絶滅危惧種も多い。虫好きの私は、週末にやんばる探索にいそしんでいるが、舗装道路の真ん中にイシカワガエル(天然記念物)がのんびり座っているのをみると、うれしい驚きとともに、心配になる。やんばるの生き物は小さくて鈍い。捕食者からの防衛は主に擬態である。そのため、外来種に捕食され、車にひかれ、密猟者に捕獲されてしまう。
 やんばるは那覇空港から車で約2時間半。私はいつもアクセスの悪さを嘆くが、これほど気軽にアクセスできる世界自然遺産は他にないのも事実だ。それだけ多くの人が訪れやすく、人間の生活圏に近い。生態系が壊されやすいのだ。多くの人にやんばるの生物のすばらしさを知ってほしい、そして彼らを守る手助けをしてほしいと切に願う。

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