静岡支局長 小川翼
JR静岡駅北口から徒歩10分。繁華街のビルの谷間にある「青葉小路」は、10軒ほどの飲食店が軒を連ねる横町だ。その中ほどに構える「季節料理 昇菊」はこの春、開店30年を迎えた。カウンター7席と個室2部屋のこぢんまりした造りだが、あまたの食通をうならせてきた。
店主は異色の二刀流…料理もボクシングも「自分との闘い」
カツオとたっぷりの薬味のうま味が溶き卵で一つに。「漁師めし」の進化形だ
店主の両角昇吾さん(61)は静岡市生まれ。地元の高校を卒業後、東京・新橋のふぐ料亭や静岡の和食店で修業し、31歳で独立した。自分の店を持つという目標を達成する前、29歳のときには、もう一つの夢をかなえている。プロボクサーのライセンス取得だ。異色の二刀流生活を5年ほど続けたという。

「料理とボクシングはどちらも『自分との闘い』。手を抜こうと思えば抜けるけれど、それじゃあダメだよね」
両角昇吾さん
地物を中心に毎日40~50品を用意する。お造り、煮付け、焼き物、天ぷら……。お邪魔するたび何をいただくか迷ってしまうが、欠かせないのは締めの「かつおごはん」(800円)だ。
地元の老舗卸「鮮魚日の出」から毎朝仕入れるカツオの切り身が、丼飯の上にたっぷりのっている。ミョウガ、大葉、生ニンニクスライスなど6種の薬味と生卵は別皿で提供される。
まず、ビジュアルがいい。ゴングが鳴ったのと同時に、鋭いジャブを浴びたような衝撃を受ける。生卵にしょうゆを注いでしっかり溶き、薬味とともに丼に入れて、よくかき混ぜる。いざ、豪快にかっこむ――うまいに決まってる。両角さんの得意パンチだった右ストレートに打ち抜かれ、もう箸は止まらない。一気にKOされること間違いなしだ。
こちらもオススメ…豚の角煮
照りが美しい「豚の角煮」も名物だ
どのメニューも美味だが、「豚の角煮」(900円)は常連さんの支持率が高い。静岡の味を楽しむなら、レトロな薫りがする横町の名店をおすすめしたい。
※税込み。記事中の値段などは紙面掲載時のものです。
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国内外の総支局長が、日頃通っている店のおすすめメニューなど、地域の自慢の味を紹介します。
季節料理 昇菊
静岡市葵区両替町2の3の3
午後5時半~午前0時。カウンター席は予約がおすすめ。日曜定休
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