2025年6月25日 午前7時30分
【論説】音楽を学ぶ福井県ゆかりの中高生を対象とした「若い芽コンサート」(県文化振興事業団、福井新聞社主催)が今年、20回目を迎えた。2月のオーディションを突破したピアノや声楽の高校生3人が、県立音楽堂で8月にソロ演奏と弦楽四重奏団とのアンサンブルを披露する。プロの演奏家と一つの音楽をつくり上げる体験は貴重で大きな飛躍の機会であり、福井の音楽文化を高める上でも意義深い。
同コンサートは2006年、若い才能を育てるためプロとの共演機会を提供する場としてスタート。13年からオーディション制となった。毎回3人、今回で累計60人が巣立つことになる。国内外で活躍する演奏家も多く輩出してきた。
共演するフェスティバル・カルテットの4人は、いずれも福井県出身のプロ。毎年このコンサートのために集い、リハーサルでは作曲家の思いや時代背景、文化など譜面に表れない曲の解釈や表現を突き詰める。高校生たちは、一人ではたどり着けないだろう音楽の奥深さに触れられる。
少子化の今、若手を対象とした県新人演奏会オーディションは21年度で取りやめとなった。県内高校・短大の音楽科は廃止されて久しく、本格的に学びたい人は県外へ進学する。だから一層、レベル向上や演奏機会の増加に、音楽コンクールが果たす役割は大きくなっている。
県内には今年76回を迎える「県音楽コンクール」がある。戦災と震災を経た1949年、教員らが中心となり復興への希望として始まった。これまでに音楽を志す若者ら延べ約1万4千人が舞台に立った。部門も多く、県外に進学した若手にもアピール。受賞者演奏会を毎回異なるホールで開いており、広く演奏機会と共に聴く機会を提供する。
坂井市文化振興事業団が主催する「さかい九頭竜音楽コンクール」(10月)は12回目。未就学児から30歳(声楽は40歳)までで、毎年約100人が挑戦する。事業団は受賞者が会場であるハートピア春江でコンサートを開く場合、主催事業としてバックアップしている。ハートピア春江では3月、九頭竜コンを巣立った音大生を含む16人が「ただいま福井プロジェクト」と銘打ち、昨年に続きコンサートを開いた。
県文化振興事業団は「越のルビーアーティストバンク」に登録する福井ゆかりの演奏家ら61人を対象に、福井での公演を後押ししている。登録者が企画した演奏会に対し県立音楽堂の利用料免除や広報、運営などで支援しており、本年度も3公演が予定されている。コンクールによる育成と、こうした「帰省」公演の好循環が福井の文化を厚く、豊かにするはずだ。
