米国が中国製品に課した最大145%の関税への報復として、中国が国内の航空会社に対し、米ボーイングの航空機の追加納入を一切受けないよう指示したことが分かった。事情に詳しい複数の関係者が明かした。

  関係者らによると、中国政府は、米企業からの航空機関連の機器や部品の購入も停止するよう求めた。この指示は、中国が11日に米製品に対して125%の報復関税を課すと発表した後に出されたという。関税の導入により、米国製の航空機や部品のコストは2倍以上になるため、中国の航空会社がボーイングの航空機を受け入れることは、非現実的になる。

  ブルームバーグ・ニュースによるこの報道後、ボーイングの株価は15日に一時2.5%下落した。同社株は14日までに、年初から10%下落していた。

Boeing Corp. 737 Aircraft Production Plant Amid Global Uproar

中国南方航空のボーイング737MAX8機

Photographer:David RDavid Ryder/Bloomberg

  関係者らは、中国政府がボーイング機をリースしている航空会社に対し、コスト上昇に対する何らかの補助を検討していることも明らかにした。

  中国南方航空は、貿易戦争の激化により米国からの中国本土向け航空機供給が危うい状況に陥ったことを受け、ボーイング787-8の中古機10機の売却を中止した。

  中国三大国有航空会社の一社である同社は、長距離路線により適した大型の新しい機材に置き換える計画を立てていた。だが、トランプ米大統領が賦課した関税と中国側の報復措置で計画は頓挫した。

  同社は中国政府が米国製品への報復関税などの措置を発表した11日に、「取引に影響を与える出来事」が売却停止の理由だと公表。売却停止を先に伝えた日本経済新聞によれば、南方航空は貿易戦争でボーイング機の調達に支障が出る恐れがあるとして今回の決定に至ったという。

  ボーイングは、急速に展開する米中の貿易戦争に巻き込まれた格好だ。状況は流動的で、さらに変化する可能性がある。トランプ米大統領は、中国から輸入されたアップルのスマートフォン「iPhone」などを対象に、関税の一部を停止してもいる。

  トランプ大統領は15日の早い時間にSNSへの投稿で、1期目に締結されたボーイングとの大型契約を中国政府が守らなかったと同国を批判した。

  航空機の生産データ分析のアビエーション・フライツ・グループによると、中国南方航空、中国国際航空、廈門航空への各2機など、ボーイング737MAX計約10機が中国の航空会社に納入予定だ。一部の機体は米シアトルにあるボーイングの工場近くに駐機しているほか、中国東部・舟山にある最終工程センターに置かれているものもある。

  一部の納入の手続きや支払いは、中国政府による報復関税の発表や発動の前に済んでいる可能性があり、関係者は、こうした機体については、中国国内への納入が認められそうだと話している。

  中国民用航空局は、コメントの求めに返答しなかった。ボーイングはコメントを控え、中国南方航空、中国国際航空、廈門航空もコメントの求めに応じなかった。

  世界最大の航空機市場の一つである中国での納入停止は、ボーイングにとっては痛手だ。中国は、今後20年で、世界の航空機需要の約20%を占めると予想されている。2018年には、ボーイングの出荷の25%近くが中国向けとなった。ただ、米中の貿易摩擦や、ボーイングのトラブルにより、同社はここ数年、中国からの大きな受注を発表していない。

  ボーイングには、中国の航空会社向けに製造された完成機の在庫がまだ多数残っている。同社は、貿易摩擦の激化が、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で打撃を受け、このところようやく正常化の兆しを見せ始めた供給網を、さらに傷つける可能性があると懸念を示している。

原題:China Orders Boeing Jet Delivery Halt as Trade War Expands (3)、China Southern Halts Sale of Boeing Jets on US New-Plane Freeze(抜粋)

 

(中国南方航空のボーイング機売却中止を追加し更新します)

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