■かなり小さいボディサイズに驚き
写真は1964年に登場した「ダットサン ブルーバード1200デラックス」(P410型)です。原案はイタリアの名門デザイン工房である「ピニンファリーナ」によるものでした。
「幸せを運ぶ青い鳥」のキャッチコピーで登場し、“大衆車”としての地位を確立した初代ブルーバード(310型)に続いて登場したのがこの410型で、ボディサイズの全長3,995mm、全幅1,496mm、全高1,470mm、ホイールベース2,300mmは、現代の目から見るとそのコンパクトさに驚かされます。
フロントに搭載する1,189ccのE1型直列4気筒OHVエンジンは最高出力55馬力、最大トルク8.8kgf・mを発生。フルシンクロメッシュの3速コラムシフトを介して後輪を駆動しました。前ダブルウィッシュボーン、後リーフリジッドの足回りは操縦安定性と乗り心地を両立したといいます。
■意外なことにスタイリングは不評?
ピニンファリーナによるヨーロッパ調の美しいボディは今見ても新鮮で、庇(ひさし)のようにわずかに出っ張ったルーフ後端と下方に向かうリアのトランクラインとの組み合わせが特徴でした。ただ、当時の市場ではそれが「尻下がり」のスタイリングだと評され、残念なことに評判はあまり芳しいものではありませんでした。
それでも販売は好調で、例えば1960年代の東京の街の風景を写した写真の一角には、必ず410ブルーバードが走っている、というほどよく見かけるクルマでした。
「ダットサン」は1986年まで続いた日産自動車のブランドです。このブランド名には、逃げるウサギのように速く、「脱兎(だっと)のごとく」駆けたという意味もありますし、快進社の初期出資者3人の名字の頭文字を合わせた「DAT」に息子を意味する「SON」を組み合わせ、「SON=損」を嫌って「DATSUN」に改称したなど、さまざまな歴史があります。DATは「Durable」(耐久性)、「Attractive」(魅力的)、「Trustworthy」(信頼性)の頭文字だとする説もあるそうです。
米国では「日産(NISSAN)」よりも「DATSUN」(つづりの通り、向こうでは「ダッツン」と呼ばれました)の方が遥かに認知度が高かったのですが、1981年を機にそのブランド名が順次廃止されることになってしまったのは、大変残念な出来事でした。
■ 原アキラ
はらあきら 1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。RJC(日本自動車研究者ジャーナリスト会議)会員。
原アキラ
