アジア特別枠として今季秋田ノーザンハピネッツに入団したガディアガ モハマド アルバシールは、千葉県で生まれ、10歳の時から台湾で生活していた選手。そんな彼がバスケットボールを本格的に始めたのは、高校生の時と遅かった。
「3年間テコンドーをやっていたけど、自分があまり好きではないことに気付いたんだ。周りにバスケットボールをやっている友達がたくさんいたから、“止めよう”と思った。高校に進学してから、本格的にバスケットボールを始めるようになった」
世新大が2年間でUBAと呼ばれる大学リーグの2部で優勝、1部準優勝に大きく貢献したガディアガは、プロ選手に転向すると台湾のT1リーグで2年連続でMVPに選ばれた。チャイニーズ・タイペイ代表でプレーするという決断のために2022年にセネガル国籍を放棄し、台湾のパスポートを取得。アジア特別枠選手としてBリーグでプレーできるようになったのは、チャイニーズ・タイペイ代表でプレーした実績があることが大きい。Bリーグに挑戦することについて、ガディアガはこう語る。
「非常にいい経験です。バスケットボールを始めた時は常に台湾にいたけど、海外に出て自分をレベルアップさせることも目指していました。Bリーグに来て最初に考えたことは、高いレベルに到達することでした」
身体能力の高さと3Pシュート力を兼備した189cmのスイングマンとして、ガディアガは川崎ブレイブサンダースとの開幕戦で14点をマーク。その後も1月の宇都宮ブレックス戦から17試合連続で2ケタ得点を記録するなど、秋田のオフェンスに欠かせない選手になっていった。
自身の武器を「アグレッシブなプレー」と表現するガディアガだが、4月以降は11試合中9試合が1ケタ得点と、B1での壁にぶち当たっているのは間違いない。4月26日の千葉ジェッツ戦後、秋田を率いる前田顕蔵コーチはガディアガの現状を次のように話した。
「波があるというのはその通りですし、今日は良くなかったですね。シュートを思い切り打ち続けてほしいというのは、やはり彼が元々純粋なスコアラーとしてやってきている。そこを継続してもらいながらも、ただスペーシングが悪かったり、ケアレスなターンオーバーがあったりと、その辺は台湾のリーグと違うルール、48分間で彼がエースとしてずっとやってきた中からかなり違う環境、違うチームでやっているので、すごくアジャストが必要なのかなと思っています。ここがしっかり調整できれば、引き続き成長すると思いますし、より脅威的な選手になるのかなと思っています」
T1リーグとBリーグとの違いについての質問に対し、ガディアガは「非常にフィジカルです。多くの優れた選手を見ることができますし、Bリーグは本当に高いレベルだと感じています」と返答。その一方で、今季の秋田で多くのことを学び、バスケットボールIQの向上など、選手としての成長も実感している。
「自分のパフォーマンスはもっと良くなると思っています。Bリーグでの初めての年ですし、秋田のチームで新しくプレーすることによる多くの期待もありました。でも、今季を通して多くのことを学び、日本のシステムも理解しました。全体的には良いと感じています」
チャイニーズ・タイペイ代表としてガディアガは、今年3月に台北で行われたFIBAアジアカップ2次予選のグアム戦で23点、タイ戦で14点を記録して本戦出場権獲得に大きく貢献。台北市立大学天母体育館に駆けつけた3000人を超える観客を前にFIBAの公式戦を戦えたことには、大きな喜びを感じたという。今季の残り試合とFIBAアジアカップに向けては、次のような意気込みを語ってくれた。
「残りの試合で全部勝てることを願っています。プレーオフに進むチャンスはないとわかっていますが、それでも一生懸命にプレーして試合に勝たなければなりません。なぜなら、これが私たちの仕事だからです。その後にはアジアカップでプレーするのが待ち遠しいですし、日本を相手にプレーできる機会があればいいなと思っています」
5月3〜4日に行われる群馬クレインサンダーズとの最終戦は、アグレッシブさを発揮することで今季終盤のスランプから脱却したいところ。夏のFIBAアジアカップだけでなく、来季さらなる飛躍を遂げるきっかけにするという点でも、ガディアガにとっては大きな意味を持つ試合になる。
身体能力の高さを武器にBリーグ1年目で1試合20点を3度記録したガディアガ 写真提供・秋田ノーザンハピネッツ
