米金融市場では21日、「米国売り」のトレードが勢いを増した。トランプ米大統領が、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長を解任するという脅しを行動に移し、リセッション(景気後退)を招きかねない政策を実行するとの懸念が引き続き影響した。
復活祭(イースター)連休明けの薄商いの中で、21日のドルと米株式相場は下落し、米国債相場は長期債が下げる一方、短めの国債は上昇するまちまちの展開となった。
ハセット国家経済会議(NEC)委員長は先週、ホワイトハウスのチームがパウエル議長解任の可能性を検討していると明らかにした。パウエル氏の解任リスクや、トランプ大統領の政策が米経済に与える影響に投資家は対処せざるを得ない。
BMOキャピタル・マーケッツの米金利戦略責任者イアン・リンジェン氏は「景気見通しの不確実性を既に高めている政権の下で、パウエル氏を更迭しようとすれば、米国資産への下押し圧力がさらに強まる」と指摘した。
トランプ大統領は21日、「予防的利下げ」を多くの人々が求めているとトゥルース・ソーシャルに投稿し、利下げを再度要求。連邦準備制度の独立性を巡る不確実性が、米国債の魅力を低下させると多くの投資家が不安を隠さない。
関連記事:トランプ氏、FRB議長に再び利下げ要求-経済減速の恐れと主張

パウエルFRB議長の解任は「早ければ早いほどよい」とトランプ大統領
Source: Bloomberg
ブルームバーグ・ドル・スポット指数は21日の取引で、一時1%安と2023年後半以来の水準まで下げ、その後下落幅を縮小した。
マネックスのFXトレーディング・ディレクター、ヘレン・ギブン氏は「トランプ氏がパウエル氏解任の可能性を検討していることは、そのような考えが実現しなかったとしても、米連邦準備制度の独立性、さらには安全資産としてのドルの信認にとって重大な脅威と国際社会は受け止める」と見解を示した。
「連邦準備制度が独立して行動しないか、行動できない状況で、米経済がリセッションに陥れば、そうした景気下降が深刻化し、市場にさらに不安の種をまく恐れがある」とギブン氏は分析した。

米債券市場を巡り、トランプ政権の関税政策で生じる相場変動からの安全な避難先にならない可能性が高いと警戒する声も広がった。
ロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)の設立パートナーの1人、ビクター・ハガニ氏は、21日のブルームバーグテレビジョンの番組で、米国の債務再編の可能性は「かなり低い」としながらも、最近の長期国債の急落を見る限り、政府債が一定の信用リスクを伴って取引される様子がうかがえると語った。
「大学で金融を学ぶ際、リスクフリー資産について必ず耳にするが、リスクフリー資産は存在しない。米国債はリスクフリーではない」と同氏は発言した。
米国債市場は、トランプ関税が招いたクロスアセット市場の動揺の震源地となっている。貿易戦争の多方面の影響を投資家が消化する過程で、長期国債利回りは最近数週間で急上昇し、30年国債利回りは今月に入り2023年以来で初めて5%を突破した。

トランプ大統領は、パウエルFRB議長の仕事ぶりに不満を示す
Source: Bloomberg
原題:Trump’s Push Against Powell Adds to Doubts of US’s Haven Status、Ex-LTCM Partner Haghani Warns US Bonds Aren’t ‘Risk-Free’ Assets(抜粋)
(市場関係者の見解などを追加して更新します)
