北中米W杯が目前に迫る中、ベルギー1部シント・トロイデンがクラブ初の来季UEFA公式戦出場権を獲得した。数多くの日本代表選手を輩出し、日本企業が経営参画した同クラブCEOの立石敬之氏に、W杯メンバー入りが期待される谷口彰悟に後藤啓介、鈴木彩艶らの率直評価、さらには年間通して欧州で戦うリアルを聞いた。〈NumberWebインタビュー/全4回〉

残留争いで2度の監督交代…その真相

 残留争いで苦しんだ2024−25シーズン、シント=トロイデンVV(以下、STVV)は2度の監督交代に踏み切った。開幕から指揮を執ったクリスティアン・ラタンツィオは公式戦6試合で3分け3敗と振るわず、2024年9月上旬に契約を解除。続いてチームを率いたフェリス・マズーもプレーオフ3を戦っている最中の翌年4月10日に解任した。

 1度目の交代はよくあるケースかもしれない。このままズルズルと低迷することを避けるために判断を下した。しかし残留できるかどうか瀬戸際の戦いを続けていたプレーオフの渦中に2度目の交代を行うのは、極めてリスキーに映る。

「自分の中に明確なロジックがあったかと言うとそうではありません。監督交代した直後の勝率が高いとは言われますが、それが今回、当てはまるとは限らないですから」

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 立石CEOは当時の心境についてこう切り出したが、それでも監督交代に踏み切った理由は何だったのか。

「それでもなぜ決断したのかと言われたら、勝負勘としか言いようがない。あの時点でこのまま何もしないで2部に落ちたときのリスクと財務的な損失、ステークホルダーや株主の損害を考えたら、監督交代で起こるメリットに懸ける方がいいと判断しました。

 当然、クラブ内に反対意見はありました。でもこのまま行ったら、1部に残れないと私は感じました。ライバルチームとの駆け引きの中で、われわれも相手が嫌がることをやりたい。プレーオフはカップ戦も入れればシーズンで4、5回目の対戦になります。お互いに手の内はわかっている状況で、新しい監督に替えた方が相手も困るだろうという考えもありました」

 2025年4月16日から指揮を任されたワウター・ブランケン監督は13位にチームを導き、残留を果たす。立石CEOの決断は奏功した。

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