ドイツ政府は借り入れ制限を緩和する劇的な政策転換により、防衛およびインフラ投資に数千億ユーロを費やす。

  メルツ次期首相は4日夜、ドイツは憲法を改正し、国防および安全保障支出を財政支出の制限から除外した上で、国を守るために「あらゆる手段を講じる」と述べた。

  今後10年で交通やエネルギー網、住宅などの優先分野に投資する5000億ユーロ(約79兆8000億円)規模のインフラ基金を設定することで主要政党が合意したとも明らかにした。

  メルツ氏は「欧州は防衛を強化する必要がある」と述べた。2月23日投開票されたドイツの総選挙では、メルツ氏の所属する保守系野党のキリスト教民主・社会同盟 (CDU・CSU)が第1党となった。「必要な決定、特に連邦予算に関するものは、最近の米政府の選択を受けて、もはや先延ばしにすることはできない」と語った。

  米国が欧州の安全保障でプレゼンスを弱めようとしている現在、欧州各国はロシアの侵略の脅威に対抗するために、防衛費として数兆ユーロの追加資金を動員する必要がある。トランプ米大統領はウクライナへの軍事支援をすべて一時停止するよう命じ、ウクライナの欧州同盟国に大きな負担を強いることになった。

Political Parties News Conferences Following General Election Results

メルツ次期首相

Source: Bloomberg

  欧州時間5日の取引でユーロは一時1.0722ドルまで上昇し、昨年11月以来の高値を付けた。投資家はドイツをはじめとする各国の支出拡大が欧州経済を押し上げることを期待している。

  10年物ドイツ国債の利回りは取引開始とともに23ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)急上昇し、1日当たりの変動として2022年6月以来の大きさとなった。利回りは2.73%に達した。

  ドイツ株のDAX指数は一時3.6%高となった。

関連記事:ドイツ国債利回り急上昇、歴史的な財政政策転換で-支出制限を緩和

  ドイツ銀行のグローバル為替戦略責任者、ジョージ・サラベロス氏は「新連立政権の指導者たちは、統一後のドイツ史上最大かつ最速の財政政策転換を発表した」と述べた。

  同氏はユーロが1.10ドルまで上昇すると見込んでいる。

  数千億ユーロの追加防衛費がインフラ支出に加わる可能性があることから、今回の合意は3年前にロシアがウクライナに本格侵攻した際に当時のショルツ首相が承認した1000億ユーロの基金をはるかに上回る規模となる。

  ドイツの合意は6日の欧州連合(EU)防衛サミットを前に他の加盟国に挑戦状を突きつけた形となった。通常、支出増に強く反対するドイツの決断は、欧州の防衛にとって大きな転換点となる。

  EUはトランプ氏の支援打ち切りへの対応として、防衛費を増やすために1500億ユーロの融資を行うことを提案。欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、加盟各国がペナルティーを課されることなく4年間で6500億ユーロを防衛費として追加支出することを可能にする措置も提案した。

関連記事:EU、1500億ユーロの融資を提案へ-全欧州的な防衛強化に向け 

原題:Germany Loosens Fiscal Chains to Transform European Defense (4)、Germany Loosens Fiscal Chains to Transform European Defense (3)、Germany Abandons Fiscal Shackles to Transform Europe’s Defenses(抜粋)

(相場を更新します)

Share.