また一つ街の本屋の明かりが消える――。150年の歴史を紡いできた熊本市の老舗書店が6月末で休業する。建物は瓦屋根にれんがの外壁が特徴の国登録有形文化財で、そばに市電が通る街並みに映え、住民らに愛されてきた。地域文化を発信する拠点にもなってきた本屋の大きな節目に惜しむ声が上がっている。(小波津晴香)
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6月末で休業する長崎次郎書店(15日、熊本市で)=小波津晴香撮影
書店は「長崎次郎書店」。熊本城の城下町風情が残る熊本市中央区にたたずむ。市中心部からは少し離れており、街の
喧噪(けんそう)
を忘れて本の世界に入り込める。創業者の長崎次郎の親戚で、書店を運営する会社の長崎健一社長(45)は「ゆったりとした時間を過ごすことができる雰囲気が親しまれてきた理由かもしれない」と振り返る。
創業は1874年(明治7年)。茶具や掛け軸を売る古道具店に本を並べたのが始まりとされる。近代学校教育の基本となる法令「学制」の公布に合わせて取扱業者の指定を受け、教科書販売を始めた。建物は1924年に建てられた木造2階建てで、1階に書店が入る。98年に国の文化財に登録された。 2013年に6代目店主が体調不良となり、一時休業を余儀なくされたが、市内の別の書店を営んでいた健一さんが屋号と7代目を引き継ぎ、14年から経営を担うことになった。 「地域から愛される書店に」――。そんな思いから、主に取り扱っていた政府刊行物や教科書だけでなく、新書や文庫、雑誌、絵本、漫画などジャンルを広げ、熊本県出身の作家の著書も多く並べた。店内の一角に設けたギャラリーでは、地域の画家の作品展やイベントを開いた。健一さんは「地域と関わりが深い企画を意識して開催してきた」と語る。 ただ、出版不況の流れには逆らえなかった。安定的な収益が見込める月刊・週刊誌の廃刊が続き、取次店に返品する本の輸送費、キャッシュレス決済の手数料といった経費も増えた。悩んだ末、今年に入って区切りをつけることを決断した。ただ、「閉店」ではなく「休業」と公表した。店の歴史や建物の文化的な価値を残していきたいと考えたからだ。 1 2
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