山口県下関市を母港とする共同船舶(東京)の捕鯨母船「
関鯨(かんげい)
丸」が初出港した21日、同市の岬之町ふ頭で市主催の初出漁式が開かれた。出席者からは、世界で唯一の捕鯨母船としての歴史的役割や、鯨肉の流通拠点でもある「鯨の街・下関」の浸透・発展、鯨食文化の継承などに期待する声が聞かれた。(平木和頼)
関鯨丸の建造で、鯨肉の加工や冷凍の設備・機器の配置などを設計した、旭洋造船(下関市長府港町)の設計本部の船装設計係長、宮植隆弘さん(33)も万感の思いでこの日を迎えた。宮植さんは「航海と漁が無事に終わり、鯨肉が消費者の皆さんに届けられる日が待ち遠しい」と笑顔を見せた。
「関鯨丸」の設計に情熱を注いだ宮植さん
関鯨丸の船内では捕獲した鯨が解体され、鯨肉は真空パック詰めや急速冷凍、段ボール箱詰めを経て、冷凍コンテナで保管される。各工程間の運搬にはコンベヤーを使う。宮植さんは一連の作業で使用する設備・機器の配置などを設計図に落とし込んだ。 設計作業は2022年秋から本格化したが、捕鯨母船造りは会社として初挑戦だけに試行錯誤の連続だった。特に、船内の限られたスペースで人の動線や作業のしやすさを確保するのに苦労した。ある設備・機器を関鯨丸仕様にしてもらうため、メーカーの担当者とやりとりしたメールは数百通を数えた。 根気がいる作業を支えたのは情熱だった。「関わる誰もが熱い思いを持っていた。自分も『やってやる』という気持ちで頑張れた。技術者としても人間としても成長できた気がする」と振り返る。 四国・松山市出身。子どもの頃から船が好きで、大学で船舶工学を学んだ。広島県の造船所に就職して設計を担当していたが、特殊なコンテナ船などを手がける旭洋造船に興味を持ち、「技術者として成長するために」と21年3月に入社。特殊コンテナ船の設計などを経て、関鯨丸の担当になった。 出港後も実際の漁が始まれば、船主側から新たな要望や相談が寄せられる。「関鯨丸を支える一人として、一つ一つの課題に精いっぱい対応し、改良・改善につなげていきたい」と力を込める。
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