青森県立郷土館(青森市)は9日、同館で収蔵する「アオモリゾウの象牙の一片」とされていた化石が、ジュゴンやマナティーと同じ哺乳類「カイギュウ」の
肋骨(ろっこつ)
の一部だったと発表した。深浦町の約300万年前の地層から1947年に採集されたもので、県内で見つかった化石がカイギュウのものと判明したのは初めて。
カイギュウの肋骨の一部と判明した化石
化石は83年、青森師範学校の教授として博物学を教えていた経験を持つ和田干蔵氏から同館に寄贈された。その後、象牙の化石として保管されていたが、同館が収蔵物の資料整理を進める中で、象牙にあるはずの「
歯髄腔(しずいこう)
」と呼ばれる穴がないことなどがわかり、他の動物の化石である可能性が浮上したという。
さらなる調査の結果、断面が
楕円(だえん)
形で、化石全体がわずかに湾曲していることから、動物の肋骨の一部と判断。化石の断面に骨密度が高い「
緻密(ちみつ)
質」の部分が確認できたことから、海中で草を食べるために体を重くしていったカイギュウの化石とわかった。
化石の大きさは、全体の長さが最大14センチで、断面の直径の最大が6・3センチ。同館によると、断面には一部、骨密度の低い部分も見られることから、成獣になる前の個体とみられる。
今回の調査内容や結果は、島口
天(たかし)
副館長が論文「深浦町関の北金ヶ沢層から産出した肋骨片化石」にまとめ、同館の研究紀要第48号(3月31日発行)に掲載された。
これまで、カイギュウの化石は北海道を中心に40例以上見つかっている。島口副館長は「新たな動物の化石が県内の地質の歴史に加わり、うれしい。化石を解明する努力をこれからも続けたい」としている。◇ 25日には、県総合社会教育センター(青森市)で行われる県立郷土館のセミナー(40分)で一般公開される予定。セミナーは無料。午後1時半開始と午後2時20分開始の2回に分けて行われる。受け付けはそれぞれ30分前から同センターで行い、各回先着40人。問い合わせは、同館(017・777・1585)へ。
カイギュウの現生種であるジュゴン(三重県鳥羽市の鳥羽水族館提供)
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カイギュウ
=カイギュウ目に属する水生の草食性哺乳類の総称。前
肢(あし)
と尾がヒレ状で、後肢は退化し、なくなっている。現在生きている種は、熱帯や亜熱帯に生息するジュゴンとマナティー。
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