体脂肪率40%――。滋賀県立琵琶湖博物館(草津市)の人気者バイカルアザラシのバイ君は、人間なら「超メタボ」な部類に入るが、それにはきちんとした理由があるのです。「太っちょなんて言わないで~」というバイ君の声が聞こえてきそうだ。世界で唯一、淡水のみで生活 そもそもバイカルアザラシは、ロシアのバイカル湖にのみ生息する固有種で、アザラシの中では世界で唯一、淡水のみで暮らしている。そんな異国のアザラシがなぜ滋賀にいるかというと、湖同士のつながりにある。 世界には誕生したのが非常に古い、目安として10万年以上の「古代湖」という湖が20ほどあり、バイカル湖は約3000万年とダントツで世界最古、琵琶湖も約400万年と有数の歴史を持っている。 古代湖には固有の生物が多数生息しており、過去、両地域では互いに交流。こうした縁もあって、2016年に琵琶湖博物館が新装オープンした際にバイ君の飼育を始めたわけだ。体重80キロ、体脂肪率40% さて、そのバイ君は、体重は約80キロ、体脂肪率は40%くらい。バイカル湖は、冬はマイナス20度から30度にもなる極寒の地だ。厚い氷で湖面が閉ざされるため、脂肪をいっぱい蓄えて備える必要があり、丸々としたフォルムは厳しい環境を生き抜くために必要なのだ。 同館で飼育を担当する武富鷹矢さん(37)は「バイがこの話を聞いたら『メタボじゃない。これが普通』って怒るかもしれません」と笑う。まん丸な目は獲物を狙うため バイカルアザラシの特徴は、なんといってもアザラシの仲間の中で最も大きいと言われている大きく、まん丸な目。これはバイカル湖は深く、水がとても透き通っているため、効率よく獲物を見つけるため目が発達したという説がある。 そんなかわいい外見から「おおらか」「のんびり」といった言葉を連想しそうだが、意外にも警戒心が強く、神経質な一面を持つようだ。 同館によると、飼育員がバイ君の寝ているときにそばで大きな音を立てたり、えさやりの際に食べにくい大きな骨が入っていたりすると、その人には近づかなくなることも。飼育には細心の注意が必要という。そもそも群れません 同館ではバイカルアザラシは最大3頭いたが、その後、2頭が死んでいまはバイ君のみ。来館者からは「ひとりぼっちでかわいそう」との声もあるらしいが、バイカルアザラシは群れやファミリーを形成して暮らす生きものではないので、人間が心配するほど寂しくはないそうだ。 ただ希少な種であることは間違いないので、館としては、なんとか繁殖させて次代に残していきたいと考えているが、コロナ禍やウクライナ侵略を機にロシア側と連携がとれなくなり、暗礁に乗り上げている。このため、今後はバイカルアザラシを飼育する国内のほかの水族館などと方策を考えていくという。(角川哲朗)機嫌すぐに分かる 飼育員・武富鷹矢さん武富鷹矢さん武富鷹矢さん バイはちょっとビビリの男の子で、機嫌が悪いとすぐに分かります。水槽の水は季節によって6~15度、室温は10~20度で、中に入るととても寒いので、効率的に掃除ができるように用具を自分たちで作るなど工夫しています。バイの機嫌を損ねないように頑張っているので、ご機嫌な姿をぜひ見に来てください。

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