新型コロナウイルスが感染症法上の5類に移行して5月で1年を迎えるが、病院での入院患者の面会制限はコロナ禍から続いている。香川県内の主要な8病院への読売新聞のアンケート調査では、いずれも4月1日時点で面会時間の制限を実施していた。患者や家族は緩和を求めているが、病院側は院内感染を防ぎたい事情もあり、対応に苦慮している。(山本貴大)
面会制限を知らせる貼り紙(高松市の高松赤十字病院で)
読売新聞では、高度な医療を提供する「特定機能病院」、地域のかかりつけ医を支援する「地域医療支援病院」に指定されている県内の計8病院を対象に、4月1日時点での入院患者の面会の運用状況を尋ねた。 回答結果では面会の禁止はなかったが、全病院が1回あたりの時間の制限を設けていた。内訳では、1回につき15分程度の制限が5病院で最も多く、2病院は30分程度、1病院は面会場所によって15分もしくは30分だった。 このほか、面会の頻度を1日1回としていたり、1回につき2人までの人数制限をしたりしているケースがあった。高松赤十字病院(高松市)ではコロナ禍前の2019年11月時点は面会が可能な時間帯(午後1時~6時)以外の制限はなかったが、現在は1回15分(1グループ2人まで)と定めている。 各病院に今後の方針を選択式で尋ねたところ、「当面は現状維持」が6病院で、「コロナ禍前と同程度には戻さないが、緩和する予定」が2病院だった。「コロナ禍前と同程度に戻す」はなかった。 また、昨冬は県内でもコロナ禍以降で初めてインフルエンザの流行警報が発令され、コロナとインフルエンザが同時期に感染が広がる状態となった。香川労災病院では昨年12月~今年4月、インフルエンザの影響で面会を不許可とした。 面会制限のあり方について、「患者や家族の不利益を考えることも重要だが、病院は感染しやすい患者を守ることも大切」(四国こどもとおとなの医療センター)「家族に面会したい気持ちは大変理解できるが、感染拡大防止のため制限のルールについては順守をお願いしたい」(香川労災病院)との意見が出た。◇ 面会制限に関して、現状は明確な指針がない。 厚生労働省は昨年10月、医療機関に向け、面会の重要性と院内感染対策の両方に留意し、「患者や面会者の交流の機会を可能な範囲で確保するよう各医療機関で検討をお願いしたい」と呼びかけた。だが、時間や人数などの条件は明確にしておらず、「医療機関の個々の事情にあわせて対応してほしい」としている。 県医師会の久米川啓会長は、現状では病院にとって制限を撤廃に向かわせる誘因が働きにくいと指摘する。「この3、4年間ほど新型コロナに対して注意深く対処してきたということで、病院としても突然に面会を自由にするということにはまだ抵抗が残る。重症患者のことを考えると慎重になるのでは」としている。 医療社会学が専門の東北大の田代志門さんは「面会は医療やケアにも関わる重要な行為であるだけでなく、患者の権利でもある。病院側は時間制限を行うのなら、根拠を明確に説明したほうがよいだろう」と指摘。そのうえで「国も指針として、▽患者によって例外規定をつくる▽患者本人やその家族の意見を聞く場を設ける▽定期的に方針を見直す――といった点を定めることを検討すべきだ」と話した。
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