『教養を深める』森本あんり著
一般に「人文科学、社会科学、自然科学の横断的な教育」などの意味で使われる「リベラルアーツ」という言葉。神学者で、東京女子大学長を務める著者が、4人の識者と議論を交わしながら、その本質に迫る。 著者は「人が人であることを貫くために必要な精神の力を養う学び」と定義づけ、作家の五木寛之氏は「自由を獲得するために『戦う技術』」と述べる。また、数学者の藤原正彦氏は、リベラルアーツを軽視すると、あっという間に新しい主張に押し流されてしまうと警告する。
大学関係者でなくても、「本物の学び」とは何かや、今なぜそれが必要かを考える上でとても参考になる。(PHP新書、1034円)(十)
『おれの歌を止めるな』松尾潔著
音楽プロデューサーで、作家としても活動する著者のエッセー集だ。 交流のある歌手や作家、心動かされた映画や絵画などへの賛辞は惜しまない。その一方で、旧ジャニーズ事務所の創業者、ジャニー喜多川氏(2019年死去)による性加害問題については、はっきりと持論を述べ、社会や政治への怒りも率直に明かす。そうした怒りを燃料に変え、ここまで歩んできたという著者の<ポップミュージックはつねに弱者の側に立つ>という信条には、ぶれがない。 寡黙は美徳ではないと著者は説く。<理想を語れ、理想の自分になるために>。行間から情熱があふれ出ている。(講談社、1760円)(し)
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