厚労省は5年に1度の公的年金の財政検証に用いる経済前提を示した

厚生労働省は12日、公的年金制度の給付水準を点検する財政検証に向け、前提となる長期の経済シナリオを4つ示した。年金積立金の名目運用利回りは1.8〜5.4%で、4つのシナリオのうち2つで過去の年金運用の実績を上回る。夏をめどに、このシナリオに基づく検証結果をまとめる見通しだ。

同日開く社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の専門委員会に提示する。財政検証は100年先まで見通した年金財政の持続性を点検する「定期健診」にあたり、5年に1度実施する。

厚労省は夏に示される検証結果をもとに、年金制度の具体的な改革案の議論に入る。

一定の給与収入がある高齢者の厚生年金の給付が減る在職老齢年金制度の見直しや、すべての国民が加入する国民年金(基礎年金)の納付期間の40年から45年への延長などが検討される見通しだ。パート労働者らへの厚生年金の適用拡大も議論する。

議論を経て、2025年の通常国会で関連法案の改正を目指す。

4つのシナリオごとに技術進歩や労働者の能力向上を示す全要素生産性や、物価上昇率、賃金上昇率などを示した。内閣府が示した2060年度までの長期経済試算などに基づいて設定した。

実質経済成長率が高い順に4つのシナリオをつくった。標準的なケースは決めないものの「(長期安定と現状投影の)真ん中2つを中心に幅を持ってみていく」(担当者)という。

名目運用利回りは、5年前の前回検証で示した1.3〜5.0%より、直近の積立金の運用実績を踏まえて高い見通しとなった。

年金積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の名目運用利回りは2022年度までの22年間の平均で3.6%だった。今回示した4つのシナリオでは2つが5%を超え、過去の実績を上回る運用成果を長期的にあげる想定になっている。

5年前の前回検証は6通りの前提を示したが、今回は4つに減らした。「わかりやすくするために簡素化した」(担当者)という。

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