日本社会を襲う「ホワイトカラー大量余剰」の予兆
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2026.10.19(月)
アジア・オセアニア
独立記念日にインドの首都ニューデリーで演説したモディ首相。今後1年間で1000万人の若者にAI技術を習得させる方針を表明した(2026年8月15日、写真:AP/アフロ)
米中対立の深刻化や地政学リスクの高まりを背景に、世界経済のサプライチェーン再編における「China+1(チャイナ・プラス・ワン)」の筆頭候補として、ベトナムとインドは多大な注目と期待を集めてきた。潤沢かつ若く優秀な労働力、旺盛な経済成長への熱気──両国はまさに21世紀のグローバル経済を牽引する存在になると誰もが信じて疑わなかった。
しかし、筆者はビングループの顧問としてベトナムに滞在することも多いが、現地の状況やデータを見る限り、その成長シナリオが順調に推移しているとは到底言い難い状況にある。
その根底にあるのは、従来想定されていたような単なる景気循環や構造改革の遅れではない。急速に進展する「生成AI(人工知能)と自動化の波」が、開発途上国の雇用構造を根底から揺さぶり始めているのだ。
ベトナムで急増する160万人ものニート(就労・就学・職業訓練を行っていない若者)問題、そしてインドで社会現象化し政治を揺るがす「ゴキブリ人民党」なる若者組織の台頭。これらは、AIが社会に深刻な脅威を与え始めた動かぬ象徴であろう。
そして、この遠く離れた途上国で起きている地殻変動は、日本にとっても決して他人事ではない。日本が剥き出しの資本の論理に晒されたとき、次に何が起きるのか──ベトナムとインドの現状は、近い将来の日本社会の姿を鮮明に映し出す鏡にほかならない。
高度ITエンジニア、工場のライン工が不要に
ベトナム経済の不調を顕著に物語っているのが、同国の誇りでありIT産業の牽引役でもあったFPTグループの株価失速だ。2026年10月初旬時点で、同社の株価は今年1月の高値から50%以上もの大幅な下落を記録している。
ベトナム人の高い数学的能力と勤勉さを武器に、ベトナムはグローバルなITオフショア開発の拠点として確固たる地位を築いてきた。「日本人の3分の1の給与で、同等以上の高度なプログラミングをこなす」と評価され、日本のIT人材不足を補う救世主としても重宝されてきたのは記憶に新しい。
