2026年ブエルタ・ア・エスパーニャ最初の本格山岳で争われた第4ステージ。残り50km地点で飛び出したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)が独走を決め、着用するマイヨロホのリードを3分21秒まで広げた。
第4ステージ 8月25日(火)
アンドラ・ラ・ベリャ〜アンドラ・ラ・ベリャ 104.8km(山岳)
ポガチャルをはじめ、4賞ジャージが集団先頭に並び、スタートの時を待つ photo:CorVos
第4ステージ アンドラ・ラ・ベリャ〜アンドラ・ラ・ベリャ image:A.S.O.第81回ブエルタ・ア・エスパーニャは4日目にしてなお、スペインに入国しない。その舞台は多くのトップ選手が住まう小国アンドラ。コースは男子レースでは極端なほど短い104.8kmで、そこに3つの1級山岳と最後の3級山岳が詰め込まれ、獲得標高差は2,953mと厳しいレイアウトだ。
降雹により中止となった第3ステージの翌日は晴天に恵まれた。急遽選手たちの避難所となり、素早くタオルなどを提供したホテルとその様子が話題になるなか、182名の選手たちがスタートを切る。集団は早くからUAEチームエミレーツXRGがその主導権を握り、マイヨロホを着用して4日目を迎えたタデイ・ポガチャル(スロベニア)の来たるべきアタックに向け、少しでも良いレース展開を目指した。
しかしそのレースプランを崩すべく、ヴィスマ・リースアバイクがワウト・ファンアールト(ベルギー)を逃げに送り込むために動く。その結果、2日目勝者のマシュー・ブレナン(イギリス)や2023年総合優勝者であるセップ・クス(アメリカ)を含むヴィスマの5名を含む、約15名の集団が先行した。その中には前日、中止になった直後にメイン集団を飛び出したロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、XDSアスタナ)の姿もあり、最初の1級山岳ポルト・デンバリラの頂上を先頭通過した。
アンドラを進むブエルタ第4ステージ photo:A.S.O.
ワウト・ファンアールト(ベルギー)らヴィスマ・リースアバイクが5名を送った逃げ集団 photo:CorVos
早々と逃げを捉えたプロトン photo:A.S.O.
そのまま逃げ集団がリードを広げると思われたが、デカトロンCMA CGMがその1級山岳でハイペースな牽引を実行。そのためファンアールト・グループは下りで吸収され、直後に次なる1級山岳コラーダ・デ・ベイシャリス(距離6.5km/平均8.5%)に入ると、牽引にUAEチームエミレーツXRGも加勢して集団を一気に絞っていく。その登り始めで早くもポガチャルのアシストはジェイ・ヴァイン(オーストラリア)だけとなり、デカトロンがさらに牽引スピードを上げると、マイヨロホは単独となった。
グレゴール・ミュールベルガー(オーストリア、デカトロンCMA CGM)がフェリックス・ガル(オーストリア)のために強烈なテンポで1級山岳を駆け上がり、その背後についたポガチャルはやや劣勢な状況に立たされる。少なくともそういう展開に見えた。しかし頂上まで5kmを切った、残り50.3km地点でポガチャルが加速。ミュールベルガーを軽々と抜き去り、そこから約300m進むと唯一食らいついたガルも振り切り、単独先頭に立った。
残り50km地点で早くも単独先頭に立ったタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:A.S.O.
カラパスのために追走集団を牽引したフアン・ロドリゲス(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:CorVos
一気に40秒差をつけたポガチャルの後方では、追走集団がガルを捉える。クスやプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)、エンリク・マス(スペイン、モビスター)など各チームの総合エースが入った集団を牽引したのは、リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)のアシストを務めるフアン・ロドリゲス(コロンビア)だった。クライマー大国コロンビア出身のロドリゲスは、育成チーム出身の22歳で、8月1日よりトップチームに昇格し、直後にグランツールデビューを決めた期待の若手選手だ。
ポガチャルが1級山岳コラーダ・デ・ベイシャリスの頂上を通過する頃に、追走との差は1分25秒まで拡大した。1級山岳ドルディノ峠(距離9.9km/平均7%)に入ると追走集団はガルのアタックによって崩壊する。ガルにはオスカー・オンリー(イギリス、ネットカンパニー・イネオス)が追従し、自らのペースで登ったログリッチが合流。その背後ではマスと、アンドラ在住でこの地をトレーニングコースとするクスが遠からぬ距離で追いかけた。
しかしカラパスはこのペースアップについていけず、マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック)らの追走集団からも遅れてしまう。マイヨロホを着用しての初勝利を目指すポガチャルはこの1級山岳ドルディノ峠の頂上までで、そのリードを2分54秒まで広げる。約17kmに及ぶ長い下りもポガチャルのタイム差を縮めることはなく、この日最後の山岳である3級山岳アルト・デ・ラ・コメラ(距離3.9km/平均5.9%)も悠々とクリアし、並走する友人に拳を合わせる余裕を見せた。
オスカー・オンリー(イギリス、ネットカンパニー・イネオス)らをマスとクスが追いかける photo:CorVos
マイヨロホを着用して、初めての勝利を手に入れたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos
そして最終的に2位以下に2分39秒のリードを作ったポガチャルが、今大会区間2勝目、ブエルタでは通算5度目となる勝利を、2019年に初勝利を飾ったアンドラで手に入れた。
「(残り50.5kmで)アタックする必要はなかった。でも1つ目の登りからすでにペースが速く、2つ目の登りも麓からかなりのハイペースだった。ジェイ(ヴァイン)が前を譲ってくれた時、総合勢全員を相手に単独になりたくないと思った。そうなれば彼らは協力して動いてくるだろうからね。だからアタックして、そのままフィニッシュまで行こうと決めた。かなりきつかったけど、本当に素晴らしい1日だった」と、グランツールでは最長となる50km独走勝利を決めたポガチャルは語った。
2位争いでは、3級山岳アルト・デ・ラ・コメラまでに遅れた選手たちが合流し、1つの追走集団を形成。ミュールベルガーが再びペースを作り、区間2位を狙うガルがアタックした。これに再び遅れたカラパスは、2位集団から18秒遅れでフィニッシュした一方、ビッグネームが揃う6名によるスプリントを制したのは、これがグランツールデビューの20歳であるヤルノ・ウィダー(ベルギー、ロット・アンテルマルシェ)だった。
この結果、大会4日目にもかかわらずポガチャルは、総合2位ログリッチに3分21秒差をつけることに成功。達成すれば1994年のトニー・ロミンゲル(スイス)以来となる、初日から最終日まで総合首位を守り抜いての総合優勝という、32年ぶりの快挙に向けて大きく前進した。
区間2位を争うスプリントで先着したヤルノ・ウィダー(ベルギー、ロット・アンテルマルシェ) photo:CorVos
マイヨロホのリードを3分21秒まで拡大させたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos
