大石健登
伊藤紘二
敷地内にそびえ立つ巨大な3本の煙突。エレベーターを使ってコンビナートを一望する煙突上部に立つと、さわやかな海風が通り抜けた(茨城県神栖市で)
東京電力と中部電力の燃料・火力発電事業を統合した日本最大の発電会社
JE(ジェ)RA(ラ)
が運営する鹿島火力発電所(茨城県神栖市)の一角に、3本のひときわ大きな煙突がそびえ立つ。同発電所では石油を燃料とする1~6号機の廃止が3年前に決まり、関係する設備の撤去作業が進んでいる。
鹿島火力発電所
国内最大級という煙突の高さは230メートル。その上部に立つと、眼下のボイラー棟では重機が
轟音(ごうおん)
を立てながら設備を解体していた。ドローンからは火花を散らして鉄骨を溶断する作業員も見えた。1棟から出る廃材は約1万トンになるという。
6基は出力が四国全県を賄えるほどの計440万キロ・ワットで、1号機が運転を開始した1971年以降、約半世紀にわたり日本経済を支えた。2011年の東日本大震災では津波被害を受けたが、迅速な復旧作業で都心部へ電力を供給。近年は老朽化が目立ち、原子力や再生可能エネルギーの普及、原油高もあって14~20年に順次停止した。一方、都市ガスを燃料とする7号系列は今も稼働している。
敷地内には東日本大震災の地震で隆起したままの施設も残る
特殊な重機やクレーンを駆使してボイラー棟の解体作業が進められており、来年3月頃の完了を目指す
「東洋一」と称された発電所が大きな役目を終え、社員は感慨深げだ。メンテナンスに長年携わった樫村浩さん(54)は「夏の保守点検は汗が止まらなかった。さみしさはあるが、多くを学ぶことができた」と語る。
高さが50メートルを超えるボイラー棟上部では、作業員が工具を用いて鉄骨を溶断していた
樫村さん(右)と共に鹿島火力発電所の最後を見届ける同僚の内藤学さん。「3本の煙突を見ると地元に帰ってきたと感じます。いずれ見られなくなると思うとさみしいですね」と話した
地球温暖化や国際情勢の変化で、火力発電所は歴史的な転換点にある。JERAは跡地の活用計画を決めていないが、撤去工事で得たノウハウを他の発電所の作業で生かすという。(写真と文 大石健登、伊藤紘二)※写真は6月11日から12日に撮影
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