
ロシアの経済紙の報道によりますと、ロシアのネット通販最大手ワイルドベリーズの倉庫2カ所がウクライナ軍の無人機攻撃を受けて炎上し、被害総額は最大で500億ルーブル、日本円で約1040億円に上る可能性があるとされています。 被害を受けたのはロシア西部タンボフ州とモスクワ州にある物流拠点で、広大な倉庫施設が長時間にわたり燃え続けたと伝えられています。 専門家は、焼損した設備の復旧には1~2年を要するとの見方を示しており、同社の物流体制と売上への影響は長期化する恐れがあります。
今回被害を受けたワイルドベリーズは、ロシア国内で圧倒的なシェアを持つ通販大手で、衣料品や家電など幅広い商品を扱い、地方都市を含めて全国に物流網を張り巡らせています。 ロシア経済においても重要な小売プレーヤーとされる同社の拠点が直撃されたことで、戦争の影響が軍需産業にとどまらず、一般消費者の生活を支える民間インフラにも及んでいる実態があらためて浮き彫りになりました。 ウクライナ側は、自国への侵攻を続けるロシアに対する対抗措置として、近月はロシア国内のエネルギー関連施設や軍需関連施設への無人機攻撃を強化しており、その累計の損害額は過去1年間で約400億ドル、日本円で6兆円超に達したとゼレンスキー大統領が主張しています。
ロシア側の主張によれば、こうした無人機攻撃は首都モスクワ周辺を含む広範囲で頻発しており、6月にはモスクワ方面に向けて200機近い無人機が飛来したとして、対空防衛網の強化をアピールしています。 一方、ウクライナ側は、攻撃対象について軍や軍需産業に関連する施設や、ロシア軍の補給線を支えるインフラだと説明し、侵攻に対する正当な反撃だと強調しています。 しかし、軍事拠点と商業施設や民間インフラの線引きは必ずしも明確ではなく、今回のように大手通販企業の倉庫が標的となったことで、国際人道法上の議論を呼ぶ可能性があります。
民間インフラへの攻撃激化と市民被害の拡大
ロシア国内の民間インフラを狙った無人機攻撃の増加は、燃料供給や物流網に深刻な影響を与えつつあります。 ロシアでは、原油精製施設への攻撃が相次いだことで製油能力が大幅に低下し、ガソリンなど燃料の不足や価格高騰が各地で問題となっており、国民生活への影響から政権への不満が高まる可能性も指摘されています。 こうした中で、通販大手の倉庫が被害を受けたことで、消費者向けの商品供給にも新たな混乱が広がる懸念があります。
一方、ロシア軍もウクライナ各地へのミサイルや無人機による攻撃を継続しており、住宅地やインフラ施設が繰り返し被害を受けています。 ゼレンスキー大統領は、ロシアによる民間インフラ攻撃が続く限り、自国もロシア国内の軍需関連施設などを標的とした長距離攻撃を続ける考えを示しており、報復の連鎖が止まる兆しは見えていません。 日本を含む国際社会では、両国に対し国際人道法の順守と民間人保護を求める声が根強く、民間インフラへの攻撃拡大が避難民の増加や世界経済への波及を通じて、紛争の長期化リスクをさらに高めるとの懸念も出ています。
今回のワイルドベリーズ倉庫攻撃は、軍事作戦の焦点が戦場の前線だけでなく、相手国の経済と社会を支える基盤にまで移りつつある現状を象徴する事案と言えます。 ロシアとウクライナ双方による長距離攻撃の応酬が続けば、軍事的な優位をめぐる計算だけでなく、互いの市民生活への影響をいかに抑えるかという視点も、今後の外交交渉や停戦への道筋を左右する重要な要素になっていくとみられます。
