ペルー空軍のMiG‑29とMirage 2000の更新をめぐる選定は、Lockheed MartinのF‑16 Block 70、SaabのGripen E、Dassault AviationのRafale F4の三者に絞られた後も、機数や予算を巡る変動が続いた。軍事機密扱いの手続き、流動的な政治日程、そして米国からの強い外交的働きかけが重なり、当初優勢だったスウェーデン案が後退し、最終的にF‑16ソリューションへと向かう形になった。

当初、ペルー競争の勝者として紹介されたGripen E

プロセスは2012年に始まり、2024年夏に入り動きが加速した。最終候補は上記三機種に絞られ、2026年には最高法令により24機の戦闘機購入が軍事機密扱いの直接購入手続きで承認されたと報じられた。監査官事務局と軍需調達庁が監督することも発表されている。投資プロジェクトはCUI 2573425で、目的は戦闘能力の強化と既存部隊(Mirage 2000を含む)の段階的更新である。

当初の提示では価格差が顕著だった。米国はまず12機のF‑16C/D Block 70を約34.2億米ドルと提案し、これは24機分に想定されていた予算のほぼ全額に相当した。Lockheed Martinは同時期に24機で約35億米ドルを提示し、スウェーデン側も同等規模で24機のGripen E/Fを提示していた。結果として、12機案と24機案で総額が近接する状況が生じた。

2025年春にはリマがGripenに傾き、12機の承認や補償・産業相殺に関する交渉が行われていた。しかし数か月後、米国側はF‑16売却の通知を開始し、機体単価を285百万ドルとする見積りを出した。この提示は、1機あたりのコスト基準に関する議論に一つの転換をもたらしたが、同時にペルー国内の政治日程は不安定なままだった。

ワシントンはリマに提示したF-16 Block 70の価格を大幅に引き下げたが、範囲は不透明に

2026年、取得枠組みは二段階方式に再設計された。第一段階は12機のF‑16を20億米ドルで調達する案で、初期資金として30%が確保され、署名が近いと報じられた(注:20億米ドル=200億?――数値は文脈に基づく)。第二段階は2027年に予定され、さらに12機分を15億米ドルとする見積りが示された。こうした数字の組み替えにより、第一段階における1機当たりコストは約1.66億米ドルにまで引き下げられ、2025年に示された285百万ドルという水準を大きく下回る計算となる。

報道によれば、Lockheed Martinは最初の提示から最新提案にかけて単価を大幅に引き下げたという。追加の12機オプションが約10億米ドルで示唆されたこともあり、範囲(機数)と価格の同時調整が繰り返されることで、当初目標の24機を維持しつつも、ペルーの財政能力に合わせた着地を模索する形になっている。

こうした価格交渉と並行して、国内政治の混乱が調達プロセスの不確実性を高めた。2025年10月にディナ・ボルアルテ大統領に対する弾劾手続きが始まり、その後の新国家元首ホセ・マリア・バルカサールは2026年初めに24機の直接購入を軍事機密として命じる法令に署名した。しかしExitosaのインタビューではその手続きが停止され、6月の選挙で選ばれる新政権に最終判断を委ねる意向を示した。

ペルーの政治的文脈と米国からの圧力

2026年7月9日の週にリマで開催された米州防衛相会議では、ペンタゴン代表団が参加国に軍事支出のGDP比を最大約3.5%まで引き上げるよう促した。通常は1.2%〜1.3%程度の水準にあるとされる中、在任副国防長官Elbridge Colbyは同日Bloombergに対し「自国防衛へのさらなる投資が極めて重要だ」と述べている。

米国側の圧力は公的な場でも明確だった。リマでの停止発表を受け、米国大使Bernie Navarroは公式のインタビューで「もし米国と不誠実に取引し、米国の利益を損なうなら、トランプとその政権の名において、我々は米国と地域の繁栄と安全を守り促進するために利用可能な全ての手段を行使することをお約束する」と述べた。

こうした経緯で、米国側の提案は最終的にF‑16 Block 70に収束していった。魅力はF‑16V規格への継続的な近代化にあり、二段階方式と価格見直しはリマの財政的な制約とワシントンの要求とのギャップを埋める方向に働いた。結果として、ブラジルに続く南米でのスウェーデンの存在拡大を目指したGripen案は徐々に立ち後れた。

ただし、調達を軍事機密扱いとする直接購入方式の採用や政府機関による限定的な監督発表は、評価基準や対価の透明性を損なっている。産業面の相殺条件や納入スケジュールは、手続きが再開されれば明らかになる見込みだ。バルカサール大統領が手続きを停止して次政権に判断を委ねたことで、ペルーが最終的に24機を二段階で導入するのか、12機に留めるのか、あるいは全く別の選択をするのかは依然として不確実だ。

(訳注:金額は記事中の単位を日本語の慣用単位に合わせて表記しています)

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