
執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2026年6月26日 16時30分
来週のユーロ円とポンド円は、予想レンジ(ユーロ円:181.50〜186.00円、ポンド円:210.50〜216.50円)の中で上値の重い展開が続きそうです。米国の年内利上げ観測を背景にドル高基調が意識されるなか、ドル円が162円手前で伸び悩む“キャップ”効果もクロス円の重しとなっています。欧米の景況感格差がユーロ円の上値を抑えやすく、ポンド円は英国の政治・財政面の不透明感から方向感を探る展開が続くと見られます。
予想レンジ:ユーロ円:181.50-186.00
予想レンジ:ポンド円:210.50-216.50
ユーロ円・ポンド円、ドル高&ドル円キャップで苦しい展開
2026年6月22日~26日のユーロ円、ポンド円はさえない展開でした。米国の年内利上げが見通され始めドルが底堅く推移したことに、ユーロやポンドが押され、ユーロ円は183.166円、ポンド円は212.531円まで下落しました。また、ドル円が162円を前に伸び悩んだことも、クロス円の上値を抑える要因として意識されました。
(各レート水準は執筆時点のもの)
ユーロ円見通し:欧米のファンダメンタルズ格差が上値を抑制
2026年6月29日~7月3日のユーロ円相場は、方向性に欠ける展開になると見られます。ECBが利上げを行ったにもかかわらず、ユーロは積極的に買われにくい状況が続いており、欧米の景況感や金融政策を巡る温度差が、こうした要因になっていると考えられます。ラガルドECB総裁は欧州経済を取り巻く環境について「依然として非常に不確実である」と述べ、さらに内需の弱さやサービス業の減速を指摘し、欧州経済の回復力に慎重な見方を示しています。
こうした発言を踏まえると、今回の利上げは、景気の弱さを抱えながらもインフレ抑制を優先した措置と受け止められます。そのため、ECBに対するタカ派的な印象はやや和らいでいます。また、米国との金融政策の方向性も意識されます。これらを踏まえると、ユーロ円が上昇するためには、ドル円が162円を突破して上値を伸ばす展開になること以外は、現状では考えにくい状況です。
ポンド円見通し:後任人事を巡るリスクが続く
2026年6月29日~7月3日のポンド円相場は、他国中銀との政策差や英国の景気減速懸念がポンドの上値を抑える一方、円安基調が下値を支える展開が続きそうです。英国ではインフレ鈍化が進む一方で、消費や住宅市場の弱さが残り、BOE は次の政策行動を注意深く見極める姿勢を崩していません。金融政策面だけではポンドを一方向に動かしにくく、当面は政治・財政面の不透明感もあわせて意識されそうです。
政治面では、スターマー首相の辞任表明はある程度意識されていたため、むしろ市場では、辞任によって政治日程の不透明感が一部後退したとの見方はあります。しかし、後任首相や財務相人事、財政規律への姿勢を見極めたいとの声が多く、なお警戒感は残っています。議会の本格再開は9月となる見通しですが、7月中旬にも後任首相が固まる可能性があり、当面は財務相人事や財政規律への姿勢がポンドの変動材料になりそうです。
ユーロ円テクニカル分析:183円台を維持できるか警戒
ユーロ円日足は、短期的には上値が重く、戻り売りが意識されやすい形です。現在値は183.90円台で、25日移動平均線の185.10円、100日移動平均線の184.55円をともに下回っているため、足元の流れはやや弱気に傾いています。
一方で、200日移動平均線は182.40円付近にあり、まだ大きな下落トレンド入りとまでは言い切れません。
そのため、目先は183円台前半を守れるか、または184.55円~185.10円を回復できるかが焦点です。
基本戦略は戻り売り優勢と考えますが、183円台前半から182円台半ばでは突っ込み売りに注意です。売りを狙うなら、184.50円~185.10円付近への戻りを待ちたいところで、100日線や25日線を回復できずに失速するようなら、戻り売りの候補になります。
ポンド円テクニカル分析:上値の重さを意識も、100日線付近での反発も期待
ポンド円日足チャートは、中期の上昇基調はまだ崩れていないものの、短期的には上値が重くなっている形に見えます。
現在値は213円台半ばで、25日移動平均線の214.20円付近を下回る一方、100日移動平均線の212.80円付近は維持しています。
そのため、目先は212.80円~214.20円の間で方向感を探る局面です。
基本戦略は、押し目買い優勢ですが、214円台前半では上値追いに慎重という見方です。
買いを狙うなら、212.80円~213.00円付近への下押しを待ちたいところです。100日移動平均線や上昇トレンドラインに近い水準で反発するなら、押し目買いの候補になります。
【ユーロ円チャート 日足】

ユーロ円 日足/ 25日・100日・200日移動平均線/RSI(14日)外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
【ポンド円チャート 日足】

ポンド円 日足/25日・100日・200日移動平均線/RSI(14日)外為どっとコム外貨ネクストネオ
2026年6月29日〜7月3日の重要経済指標・イベントスケジュール
6月29日(月)
18:00 ユーロ 6月消費者信頼感(確定値)
6月30日(火)
08:30 日本 5月失業率
08:50 日本 5月鉱工業生産・速報値
15:00 イギリス 1-3月期四半期国内総生産(GDP、改定値)
16:55 ドイツ 6月失業率
19:00 日本 外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
21:00 ドイツ 6月消費者物価指数(CPI、速報値)
22:00 アメリカ 4月住宅価格指数
23:00 アメリカ 6月消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)
23:00 アメリカ 5月雇用動態調査(JOLTS)求人件数
7月1日(水)
08:50 日本 4-6月期日銀短観・四半期大企業製造業業況判断
17:00 ユーロ 6月製造業PMI改定値
17:30 イギリス 6月製造業PMI改定値
18:00 ユーロ 6月消費者物価指数(速報値)
20:30 アメリカ 6月チャレンジャー人員削減数
21:15 アメリカ 6月ADP雇用統計
22:30 ユーロ ウォーシュ米FRB議長、ラガルドECB総裁、ベイリー英中銀総裁らがECBフォーラム討論会に参加
22:45 アメリカ 6月製造業PMI改定値
23:00 アメリカ 6月ISM製造業景況指数
7月2日(木)
18:00 ユーロ 5月失業率
21:30 アメリカ 6月雇用統計
21:30 アメリカ 新規失業保険申請件数
7月3日(金)
アメリカ 独立記念日の振替休日
17:00 ユーロ 6月サービス業PMI改定値
17:00 ユーロ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、発言
17:30 イギリス 6月サービス業PMI改定値
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外為どっとコム総合研究所
小野 直人
株式会社DZHフィナンシャルリサーチでの情報配信業務、上田ハーロー株式会社での調査・市場部門を経て、2021年より外為どっとコム総合研究所へ参画。ニュースベンダーとFX会社で培った「情報の目利き力」と「市場実務の経験」を武器に、個人投資家へ有益な情報を発信している。ドル円などの主要通貨に加え、トルコリラ・メキシコペソなどの新興国通貨、日経平均・NYダウといった株価指数(CFD)まで、幅広い金融商品の分析を得意とするマーケットアナリスト。
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