【SAPOD】今日の「宇宙画像」です。soraeが過去に紹介した特徴的な画像や、各国の宇宙機関が公開した魅力的な画像、宇宙天文ファンや専門家からお寄せいただいた画像を紹介しています。(文末に元記事へのリンクがあります)

(引用元:ESO)

今回紹介するのは、ESO(ヨーロッパ南天天文台)が2015年10月21日に公開した、過剰接触連星「VFTS 352」の想像図です。ESOの超大型望遠鏡VLTの観測成果をもとに制作されました。

接触連星「VFTS 352」の想像図。2つの高温・大質量星は表面の一部が重なり合っており、両星の間には物質の「橋」が形成されている(Credit: ESO/L. Calçada)【▲ 接触連星「VFTS 352」の想像図。2つの高温・大質量星は表面の一部が重なり合っており、両星の間には物質の「橋」が形成されている(Credit: ESO/L. Calçada)】

VFTS 352は、大マゼラン雲のタランチュラ星雲に位置する連星系で、地球からおよそ16万光年離れています。2つの星はどちらも表面温度が約4万℃を超える高温のO型星で、合わせた質量は太陽のおよそ57倍にもなります。

また、公転周期はわずか1日あまりで、中心間の距離は約1200万kmしかありません。あまりに近いため、2つの星の表面は一部が重なり合っており、両星の間に物質の「橋」が形成されています。このような連星は「過剰接触連星(overcontact binary)」と呼ばれ、VFTS 352は、知られている接触連星の中でも特に高温かつ大質量な例とされています。

通常の連星系では、片方の星がもう片方の星から物質を引き寄せることがあります。しかし、VFTS 352の2つの星はほぼ同じ大きさで、一方的に物質を奪う関係ではありません。むしろ、星を構成する物質の約30%を共有しているとみられています。

VFTS 352がたどる未来

この連星が今後たどる道筋には、2つの可能性が考えられています。ひとつは、2つの星が合体して、超高速で自転する1つの巨大星になるというものです。その場合、最期にはガンマ線バーストと呼ばれる、宇宙で最も高エネルギーな爆発現象のひとつを引き起こすかもしれません。

もうひとつは、内部の物質が十分に混ざり合うことで合体を免れ、それぞれが超新星爆発を起こした後に、近接した連星ブラックホールとなるものです。この場合、将来的には強力な重力波を発生させる天体になると予測されています。

接触したまま互いの周りを回るVFTS 352が、最終的にどちらの道筋をたどるのかはまだ分かっていません。しかし、合体して巨大星になる場合でも、将来ブラックホール連星へ進む場合でも、大質量星の進化や重力波源の形成を理解するうえで重要な手がかりになると考えられています。

 

 

編集/sorae編集部

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