東京から3時間、開発余地残す岩手リゾートの勝算

牧野 知弘

牧野 知弘
オラガ総研代表、不動産事業プロデューサー

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2026.5.24(日)

地域経済 建設・不動産

安比高原スキー場のリフト乗り場に長い列を作る利用客=2024年12月7日、岩手県八幡平市(写真:岩手日報/共同通信イメージズ)

リクルートが開発に着手した安比高原

 岩手県北西部に安比(あっぴ)高原という高原がある。行政的には八幡平市(はちまんたいし)に属し、秋田県および青森県と接する。岩手県最深部ともいえる奥地にあり、面積は約3500ha、白樺林が連なる実に美しい高原である。

 安比高原という名前で多くの中高年者が思い出すのがリクルート社だ。

 安比高原はリクルート社の創業者である江副浩正氏がこの土地の魅力に惚れこみ、一大開発に着手した土地である。1978年7月にリクルート社はこの地に社員研修施設を建設する。研修施設に加えて、ゴルフ場、テニス場、アーチェリー場やオリエンテーリングができるフィールドも整備。「レック・エデュケーショナルセンター」(のちの「安比レック」)の名称を掲げる。

 江副氏はさらに県や開発公社が出資する第三セクターの安比総合開発にも資本参加し、自ら社長に就任、1981年にはスキー場を開業。続けて85年にはホテル安比グランド本館・タワーを開業する。

安比高原スキー場のシンボル的存在だった、ホテル安比グランド本館・タワー。現在はANAクラウンプラザリゾート安比高原(写真:Yoshiyuki.Kaneko/イメージマート)

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 この開発で画期的だったのは、今では富裕層や投資家に人気のホテルコンドミニアム方式を採用し、ホテルの客室を分譲しホテルとして運営、収益を配当したことだった。世の中は空前の好景気とスキーブーム。当時の江副氏は時流にのった成長企業を司るスターとしてマスメディアにもたびたび登場し、若者の憧れの存在だった。

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