香川県立高松北中(高松市)で昨年、勤務していた外国語指導助手(ALT)の男性が、英語のテスト中に複数の女子生徒の体を触る行為をした疑いがあることが、県教育委員会や同校、関係者への取材でわかった。男性を派遣していた北九州市の企業は調査の結果、「重大な問題」と判断したものの、今年1月に合意の上での退職扱いとしたことも判明した。県教委などは刑事告発をしていない。(植村卓司)

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 県教委や同校によると、男性は「インタラック西日本」(北九州市)から派遣されて同校に勤務。昨年11、12月に行われた対面での英語のスピーキングテストの際、受けていた女子生徒の体に触れる行為を繰り返したという。被害を申し出た生徒は1~3年に及ぶものの、人数について県教委は「プライバシーのため明かせない」とした。

 複数の関係者によると、テストは生徒が順に男性とマンツーマンで行われ、生徒は机を挟んで男性と対面。机の下から手が伸びてきて、太ももや下腹部、胸付近を触られたという。

 県教委は昨年12月、高松北中からの連絡で問題を把握。同社側に男性への調査を求め、同校にも詳細な聞き取りなどを指示した。同校はすぐに3年生の調査を始めたが、他の学年の複数の生徒も同じ時期に被害を申し出ていたにもかかわらず、同校は今年2月まで調査を始めなかった。

 インタラック西日本は調査の結果、「男性は意図的な不適切接触を否定している」とし、故意に体を触ったかどうかを認定していないとした。男性は退職扱いとした。

 県教委は同社に厳正な処分を求めず、男性の行為について県警に刑事告発もしていない。

真相究明の責任果たしていない

 組織の不祥事の対応に詳しい同志社大の太田肇名誉教授(組織論)は「故意であると認定することは、警察への告発や再発防止策を検討する上での大前提で、決定的に重要なポイントだ」と説明する。

 高松北中のケースでは、複数の被害の証言があり、ALTだった男性に触られた具体的な箇所が判明していることを考慮すれば「行為は故意だった」と捉えるべきだと指摘。「インタラック西日本が自社の落ち度を指摘されないよう、わいせつ問題をあえてグレーにし、県教委も黙認しておきたい本音がうかがえる」との見解を示した。

 県教委と同社が被害生徒のプライバシーに配慮するのは当然とした上で、「教育の場で起きた今回の事案は、被害者と加害者という個人対個人の関係を超えた問題だ。刑事責任の追及を含めて真相を究明する責任があるのに、果たしていない」とした。

「何に謝罪、反省しているのか、ぴんとこない」

 被害に遭った女子生徒の母親が取材に応じ、県教委や高松北中、インタラック西日本の対応への不満を口にした。

 県教委や会社の担当者と直接会い、謝罪もしてもらった。けれど、ALTの男性の行為をどう捉えているのかが分からないので、何に謝罪、反省しているのか、ぴんとこない。

 接触が故意であれば、男性は刑事処分を受けるべきだし、それが本人の反省と再発防止にもつながる。それを、県教委や会社はどう思っているのか。大ごとにしないことを最優先にしていませんか。「生徒に寄り添った対応をします」。この言葉が本当なら、こちらの希望を受け止め、(刑事責任が問えるよう)後押しをしてほしい。

 県教委はプライバシーを理由に、問題を把握以降、ずっと個別に対応している。保護者が意見をすることが悪いように思え、「そんなことをしているのは私だけ?」と孤独、孤立も感じる。

 一番の願いは、同じ過ちが繰り返されないこと。会社は男性に「生徒に今後、近づかないようにと警告した」と言うが、効果は薄い。実際、娘や友だちが何度も街中で目撃している。男性が別の会社に就職し、教壇に立つ可能性も大いにある。それをどう思っているのでしょうか。

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