クラウン(道化師)にふんして病院などへの慰問活動に取り組むNPO法人「日本ホスピタル・クラウン協会」(名古屋市)が月1回、和歌山市内で入院中の子どもたちに笑顔を届けている。クラウンたちは「入院する子たちの気晴らしに」と子どもらに寄り添う。(岡本珠梨)
子どもに手品を見せる山田さん(左奥)と新田さん(和歌山市で)
和歌山県立医科大付属病院(和歌山市)で14日昼、約20人が入院する小児科病棟に笑い声が響いていた。赤い大きな鼻と色鮮やかな服装のピエロ2人が、おどけながら登場した。病棟内の一室で到着を待ちわびていた子どもたちの表情が、ほころんでいた。
病棟は0~15歳が対象でピエロたちは、希望する子どもたちの病室を回って、一緒に歌ったり、風船で動物などを表現するバルーンアートを贈ったりして交流した。手術を機に入院した中学2年の女子生徒は「準備をしてきてくれてうれしいし楽しい。他の子に見せている芸も見たい」とピエロたちに夢中だった。
時々マジックの仕掛けが見えてしまうのも「ご
愛嬌(あいきょう)
」。約半年間入院している小学5年の女子児童は「一番面白かったのは、時々マジックを失敗するところ」と笑った。「ピエロに会うといつも心がぱっと晴れる感じがする」と長い入院生活の助けになっている様子がうかがえた。この病院には7、8年前からクラウンが訪ねているという。
小児科を担当する病院職員の西尾綾子さんは「クラウン訪問の希望を子どもたちに聞くと、多くが『この前こんなことをしてもらった。絶対にまた来てほしい』と言ってくれる。自然と会話も広がっていく」と声を弾ませた。
今回訪問したクラウンの一人、ピンク色の衣装に身を包んだ「ニッティ」こと、新田津基子さん(72)は和歌山県岩出市出身。ほぼ毎月、同院に大阪府吹田市から通う。
高校卒業後、客室乗務員として航空会社で勤め、結婚後に退職。60歳頃にクラウンを志したきっかけは、娘が医師になったことだった。「今から医療職に就くことは難しいけれど、医療の現場を娘とともに支えられる活動はできないか」。それから10年以上活動を続けてきた。
この日は、岐阜市から駆けつけた「ロイ」こと山田益巳さん(64)と一緒にマジックや皿回しなどを通じて子どもたちと楽しんだ。新田さんは「この活動で私自身もパワーをもらい、生きる励みにもなっている」と笑みを浮かべた。
同院の小児科医辻本弘さんは「病状を知る私たちは、デリケートな部分に触れるべきか迷いながらコミュニケーションを取ってしまうことがある。友達のようにフラットに接してくれる存在は子どもたちにとって大切な存在」と指摘する。
同法人の県内の活動拠点は、現在同院のみだが、新田さんは「もっと和歌山にもこの活動を広げていけたらうれしい」と話していた。
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