(CNN) イランでの戦闘が3カ月目に入った。これは中国にとって、米国の戦時における軍事能力を目の当たりにする機会でもあり、敵国が戦争の結果を左右する影響力を持つことを改めて示す例としても役立っている。
CNNは中国や台湾のさまざまな専門家にインタビューし、米中間で衝突が起きた場合、ペルシャ湾周辺で繰り広げられてきた過去2カ月の戦闘がどんな判断材料になるかを尋ねた。
中国人民軍(PLA)の退役空軍大佐、フー・チェンシャオ氏はこれまでに得られた重要な教訓として、PLAは自国の防衛を忘れてはならないと強調。イランは「THAAD(サード)」のような米迎撃ミサイルシステムを回避するすべを見出してきたと指摘した。
フー氏はCNNに、「我々が無敵であり続けるためには、防衛面の弱点を認識することに相当の力を注ぐ必要がある」と語った。
PLAは近年、迎撃をかわせる極超音速滑空体(HGV)搭載のミサイルやその発射装置を配備するなど、攻撃力を急速に強化してきた。
空軍は第5世代ステルス戦闘機を急テンポで導入している。英シンクタンク、王立防衛安全保障研究所(RUSI)によると、長距離精密打撃モードでの実戦には、米軍の最新鋭ステルス戦闘機「F35」にほぼ匹敵する「J(殲20)」を1000機ほど展開する構えだ。

航空公開イベントで空中パフォーマンスを披露した最新鋭ステルス戦闘機「J(殲)20」=2025年9月19日/VCG/AP

英国のチャールズ国王とカミラ王妃の歓迎式典でホワイトハウス上空を飛行する最新鋭のF35ステルス戦闘機=4月26日/Samuel Corum/Sipa USA/SIPPL/AP
さらに米国の「B2」や「B21」に似た長距離ステルス爆撃機の製造も進めている。
だが防衛面はまた別の問題だ。
アナリストらによると、イランは低コストのドローン(無人機)「シャヘド」や比較的安価な弾道ミサイルなど、どちらかといえば後進的な技術で、米国がペルシャ湾に配備する防空システムを突破することができた。
一方、米国はイランに対してF35やB2のようなはるかに高度な兵器を使い、これと並行して旧式の「B1」や「B52」、「F15」から安価な誘導弾を投下。ミサイル発射装置から海軍艦艇や橋まで、あらゆる標的を破壊してきた。
フー氏は、このような併用を中国も計画するべきだと主張する。
台湾海峡をはさんで
米中間の衝突というと、台湾が火種になる可能性がよく指摘される。
台湾のアナリストらは、中国が米国のハイテク精密兵器と、イランによる低コスト、大量投入のドローン戦の両方に対抗できるだけの軍事力を構築しているとの認識を示した。
台湾の国防安全研究院(INDSR)で副研究員を務めるチェ・チュン氏はCNNに、「中国の台湾に対する合同軍事作戦では、長距離ロケット砲とドローン群が確実に中心的な役割を果たすだろう」と述べた。
中国は世界最大のドローン製造国だ。
米安全保障専門サイト「ウォー・オン・ザ・ロックス」に掲載された昨年の報告書では、「中国の民間メーカーは1年以内に設備を入れ替え、年間10億機の武装ドローンを製造する能力がある」とされた。
台湾がこの数に対応できるのかどうかを疑問視する声もある。
政府監視機関による最近の報告書は、台湾軍の現在のドローン対策では「役に立たず」、重要なインフラや軍基地に「重大なセキュリティーリスク」が及ぶとの警告を発した。
ただし台湾も手をこまねいているわけではなく、対策強化を図っているのは確かだ。
台湾のドローン製造最大手、雷虎科技(サンダータイガー)のジーン・スー社長は、台湾がドローンを大量生産できる能力への投資を強化するべきだと訴えた。
米国もまた、イランでの教訓を基に、太平洋で衝突が起きれば守勢を強いられることになるかもしれないと警戒している。
米インド太平洋軍のサミュエル・パパロ司令官が米上院の公聴会で語ったところによれば、ドローンは攻勢をかけている側にはるかに大きなコストを強いる。
台湾をめぐって戦闘が起きた場合、攻撃や占領のために何十万人もの兵員を乗せて台湾海峡を渡ろうとする中国の船舶や航空機に対し、台湾または米国がドローン攻撃を仕掛けるかもしれない。
標的となる船舶や航空機、兵員は、ドローンよりもはるかに高価だ。イランではこれが抑止力となってきた。イランが米国との大きな差を逆手にとる非対称戦に出ることを警戒し、米海軍はホルムズ海峡の通過をほとんど試みていない。
パパロ氏が提唱するのは、PLAが台湾海峡を渡ろうとするのを妨害するため、海峡上空や海上、海中に数千機のドローンを展開する作戦だ。中国当局も確実にこれを認識している。
