インド科学技術省(MoST)は4月9日、同省の科学技術庁(DST)傘下の独立研究機関であるジャワハルラール・ネルー先端科学研究センター(JNCASR)の研究者らが、湿度変化に応答し、単一デバイス内でセンシング、記憶、処理を行うニューロモルフィックセンサーを開発したと発表した。研究成果は学術誌Journal of Materials Chemistry Cに掲載された。
本成果は、生体神経系に着想を得たものであり、特に湿度や光に対して高い感受性を示すコオロギガエルなどの両生類の環境応答特性に着想を得ている。従来のニューロモルフィックデバイスでは、センシング部と記憶・処理部が分離されているため、エネルギー消費やデータ処理負荷の増大が課題であったが、本技術はこれらの機能を単一プラットフォームに統合することで、それらの低減を可能にする。

湿度の上昇に伴って活動が活発化する湿度感受性カエルの行動を、超分子ナノファイバー基盤のニューロモルフィックセンサーにおいて再現
(出典:PIB)
JNCASRのテジャスウィニ・S・ラオ(Tejaswini S. Rao)氏およびスカーニャ・バルア(Sukanya Baruah)氏は、ドナー分子とアクセプター分子からなる電荷移動錯体を基に超分子ナノファイバーを成長させ、ガラス基板上の櫛形金電極に塗布してデバイスを作製した。湿度制御チャンバー内で加湿窒素流を用いて相対湿度を制御し、異なる強度および間隔の湿度パルスを印加して電気的測定を行った。
その結果、研究チームは湿度刺激に対して促通や抑圧、メタ可塑性といったシナプス応答を示すことを確認し、基本的な論理演算が可能であることを実証した。また、デバイスは過去の湿度刺激を一時的に記憶し、光の影響も受けることが確認された。
研究チームは「湿度を主刺激としてニューロモルフィックデバイスにおけるシナプス応答を再現したのは今回が初めてです」と述べ、本技術が湿度などの環境信号に応答するスマート環境モニタリングシステムや、人工知能(AI)およびIoT(モノのインターネット)分野におけるエッジコンピューティングの高効率化に寄与する可能性を示した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部
