(CNN) 米軍によるキューバ沖での諜報(ちょうほう)飛行が急増している。一般公開されている航空データをCNNが分析して明らかになった。
航空機追跡サイト「フライトレーダー24」によると、2月4日以降、米国の空海軍は有人機とドローン(無人機)を使って少なくとも25回、諜報飛行を行った。その大半はキューバの二大都市ハバナとサンティアゴ・デ・クーバ付近で行われ、沿岸から約64キロ以内にまで接近したこともあった。
飛行の大半は、監視・偵察用途の哨戒機「P8Aポセイドン」によるものだった。信号情報の収集に特化した「RC135V/Wリベットジョイント」や、高高度偵察ドローン「MQ4Cトライトン」も用いられた。

RC135V/Wリベットジョイント/US Air Force photo

厚木海軍飛行場付近を飛行する哨戒機「P8Aポセイドン」=2024年7月31日/Damon Coulter/SOPA Images/LightRocket/Getty Images/File

パタクセント・リバー海軍航空基地に着陸する高高度偵察ドローン「MQ4Cトライトン」=2014年9月18日/US Navy/Reuters/File
これらの飛行が注目を集めたのは、情報収集が十分可能な沿岸近くを飛行しているためだけではない。その出現が突然だったことも理由の一つだ。2月以前では、この地域で公に確認できる諜報飛行は極めてまれだった。さらに、その時期も注目に値する。
キューバに対するトランプ米大統領の公の発言は、この急増の数週間前に目立って強硬になった。トランプ氏はSNS「トゥルース・ソーシャル」で、FOXニュース寄稿者のマーク・ティーセン氏のコメントを再投稿。コメントで同氏はトランプ氏が在任中に「自由なハバナ」を訪れるだろうと述べていた。トランプ氏がキューバへの石油封鎖を命じたのはこの投稿から数日後のことだった。
現在、トランプ氏はキューバに対する制裁を拡大し、同国が米国の国家安全保障にとって「脅威」だと主張している。(一方のキューバ当局者は、共産党政権が米国に脅威をもたらすとの見方を退けており、交渉に応じる用意があると主張しているが、攻撃を受ければ米軍に対して長期のゲリラ戦を展開するとも言明している)
見慣れた手法
トランプ政権による発言が強硬になると同時に、公然と行われる監視飛行が増えるという類似のパターンは、のちに米軍の軍事作戦が展開されたベネズエラとイランの双方でみられた。
ベネズエラの場合、トランプ氏は昨年9月2日にカリブ海で麻薬密輸船とされる船舶への最初の米軍攻撃を発表した。その際、トランプ氏はベネズエラのマドゥロ大統領(当時)とのつながりを具体的に主張し、同氏を「大量殺人、麻薬密売、性的人身売買、暴力とテロ行為」のかどで非難した。
公然とした監視飛行はその1週間後にベネズエラ沖で始まり、10月と11月に空白期間を挟みながら、米特殊部隊が首都カラカスにある敷地内でマドゥロ氏を拘束する数日前まで続いた。
イランでも同様の傾向が見られた。米イスラエルによる攻撃に先立ち、はるかに大規模な情報収集機とドローンの集団がイラン南部沿岸を公然と監視した。ここ数週間でキューバ近くで確認されているP8Aポセイドン、RC135V/Wリベットジョイント、MQ4Cトライトンはいずれもイラン紛争でも活動している。
2025年初頭以降、これらと同じ米軍偵察機数十機が、ウクライナの戦闘地域周辺や、朝鮮半島、ロシア西部国境沿いといった地政学的緊張の続く地域付近で活動してきた。大規模データの視覚化サイト「ADSBエクスポーズド」によると、これらをはじめとする地域での飛行は何カ月にもわたって継続的に行われている。
しかし、キューバ沿岸沖で確認された飛行の増加は新しく、これらの航空機が従来展開されてきた場所から外れている。
公のメッセージか
上記の飛行はすべて、フライトレーダー24やADS-Bエクスチェンジのような一般公開されたオープンソースの飛行追跡ダッシュボードを使って追跡された。
また、これらの飛行はX(旧ツイッター)やディスコードなどのSNS上で広く共有された例もある。
関与した航空機は、その気になれば位置情報を知らせるビーコンを切って存在を隠すこともできる。それでも位置が確認できたことは、米国が敵対勢力に対してこれらの航空機の存在を意図的に示しているのではないかという疑問をもたらしている。
米軍や政権によって明確に意図されたものかどうかにかかわらず、そのメッセージは控えめに言ってもキューバ当局者に不安を抱かせる可能性が高い。
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本稿はCNNのエイブリー・シュミッツ記者による分析記事です。
