相国寺承天閣美術館(京都市上京区)で、「相国寺承天閣美術館開館四十周年〈II〉 後水尾院の京」が5月31日から開催されます。

室町時代に足利義満によって創建された相国寺は、中世の動乱によって多くの伽藍を焼失しました。近世になり、復興に尽力する僧侶たちに手を差し伸べたのが、寛永文化の主導者、後水尾院でした。後水尾院は相国寺僧、昕叔顕晫(きんしゅくけんたく) を師として仏門に入り、複数の伽藍を再興しました。

院の禅への興味に加え、御所との地理的な近さ、貴族の子弟の入寺によって、当時の公家社会と密接な関係を築いた相国寺とその塔頭には、多くのゆかりの什物(じゅうもつ) が残されています。十七世紀の京を彩った華麗な文化を今に伝える寺宝の数々を展示室で見ることができます。

重要文化財 花下遊楽図屏風 六曲一隻 紙本金地著色 江戸時代 相国寺蔵 Ⅱ期

相国寺承天閣美術館開館四十周年〈II〉 後水尾院の京

会場:相国寺承天閣美術館(京都府京都市上京区今出川通烏丸東入)

会期:2026年5月31日(日)~9月27日(日)
[I期](5/31~7/26)、[II期](8/2~9/27)

開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)

休館日:会期中無休(展示替え期間を除く)

観覧料:
大人1,000円、大学生・高校生800円、中学生500円
※小学生以下無料(要保護者同伴)

アクセス:
京都市営地下鉄 今出川駅下車3番出口から徒歩8分
京阪電車出町柳駅3番出口から徒歩20分
市バス 同志社前下車 徒歩6分、烏丸今出川下車 徒歩8分

詳細は、相国寺承天閣美術館公式サイトまで。

第一章 後水尾院と禅

後水尾院は、相国寺僧、昕叔顕晫を師として落飾し、複数の伽藍を再興します。第一章では、後水尾院寄進伽藍由緒記(相国寺蔵)など、当時の交流を物語る貴重な資料から、夢窓国師像(尭恕(ぎょうじょ) 法親王筆)や、普明国師像・足利義満像(探幽筆、いずれも相国寺蔵)なども公開されます。

後水尾天皇像 幸仁親王筆 一幅 絹本著色 江戸時代 元禄十二年・一六九九 相国寺蔵 Ⅰ期
後水尾天皇宸翰 圓明 一幅 紙本墨書 江戸時代 寛文六年・一六六六 相国寺蔵 Ⅱ期
第二章 宮家の菩提寺

相国寺の塔頭である慈照院は、宮家の菩提寺としての性格を持ち、歴代天皇ゆかりの品々を大切に守り伝えてきました。本章では、後陽成天皇筆の達磨図や、八条宮家初代智仁親王画像、後水尾院和歌(II期)、後光明天皇筆の布袋図、後西天皇和歌懐紙(いずれも慈照院蔵)などが紹介されます。

第三章 十七世紀 禅僧の書画

相国寺やその山外塔頭である鹿苑寺(金閣寺)に集った禅僧たちの活動を、書画を通して辿ります。鹿苑寺蔵の鳳林承章書簡(本光国師(以心崇伝)宛)や、II期に展示される沢庵宗彭賛・松花堂昭乗筆の舞布袋図、一絲文守墨蹟(黄檗禅師云)など、十七世紀の京都における精神文化の深まりを堪能できます。

第四章 華麗なる京の芸術

寛永文化の華やぎを象徴する、絵画や工芸の名品が揃います。相国寺に伝わる住吉如慶筆の四季山水図座屏や、狩野探幽筆の探幽縮図などが展示されます。本章の大きな見どころの一つは、俵屋宗達筆による重要文化財「蔦の細道図屏風」(相国寺蔵、I期展示)です。伊勢物語の一場面を、金銀の彩りとともに豊かに表現した傑作です。

重要文化財 蔦の細道図屏風 俵屋宗達筆 烏丸光広賛 六曲一双 紙本金地著色 江戸時代 相国寺蔵 Ⅰ期

また、工芸品では本阿弥光悦による重要文化財「赤楽茶碗 加賀」(相国寺蔵)や、金森宗和の消息文が添えられた竹花入(鹿苑寺蔵)、II期に展示される尾形乾山作の色絵龍田川透かし鉢(慈照寺蔵)など、京の美意識を体現する至宝が公開されます。

重要文化財 赤楽茶碗 加賀 本阿弥光悦作 一口 江戸時代 十七世紀 相国寺蔵 通期
色絵龍田川透かし鉢 尾形乾山作 一口 江戸時代 十七~十八世紀 慈照寺蔵 Ⅱ期

京都の歴史を語る上で欠かせない相国寺と、その復興の立役者となった後水尾院。本展では、俵屋宗達の屏風や本阿弥光悦の茶碗といった美術ファン必見の名品をはじめ、宮廷と禅宗寺院が密接に結びついて生まれた「寛永文化」の真髄に触れることができます。17世紀の京で、僧侶や貴族たちが愛した美の世界を、心ゆくまで堪能してみてはいかがでしょうか。(美術展ナビ)

Share.