【5月7日 CNS】「将来、当社のすべてのエンジニアに年間トークン予算を持たせ、生産性を10倍に高める」。エヌビディア(Nvidia)の黄仁勳(Jensen Jen-Hsun Huang)CEOは、GTC 2026でこう語った。中国でも同様の動きがあり、「58同城」の姚勁波(Yao Jinbo)会長は、AI活用が足りないとチームを叱ることもあると明かしている。いまやトークンはテック企業にとって新たな「通貨」となり、採用時にどれだけ割り当てられるかが話題になるほどだ。
ではトークンとは何か。中国国家データ局の劉烈宏(Liu Liehong)局長は、大規模モデルが情報を処理する際の最小単位であり、計測・価格設定・取引が可能なAI時代の基本単位だと説明する。たとえば「我爱中国!」は4つのトークンに分けられる。劉氏はこれに「詞元(Ci Yuan)」という名称を与え、中国語としての呼び名も定まった。2024年初めに中国の1日あたりトークン使用量は1000億だったが、今年3月には140兆を超え、わずか2年で1000倍以上に増えている。
この急増の背景には、トークン課金という新たなビジネスモデルの広がりがある。使用量に応じて課金し、知能の価値に価格を付ける仕組みで、従来の無料集客型モデルとは異なる。料金は通常「元/1000トークン」で設定され、例えば阿里巴巴集団(アリババグループ、Alibaba Group)の子会社「阿里雲智能(アリババ・クラウド、Alibaba Cloud)」のQwen-Turboでは入力0.0003元(約0.0070円)、出力0.0006元(約0.014円)程度と安価だが、生成量が膨大なため総額は急速に膨らむ。実際、ある企業では20日間の売上が前年1年分を上回る例も出ている。アリババがトークン事業グループを新設したことも、ビジネスがトラフィック中心からAI中心へ移っていることを示す。
トークンは、計算資源の消費やモデル効率を測る指標であり、市場と技術を結ぶ橋でもあり、知的サービスの取引単位でもある。いわばAI時代の「計算資源の通貨」だ。世界のAI利用でも中国は存在感を強めており、ある週の世界の呼び出し量の36%を占めた。背景には高いコストパフォーマンスがあり、中国製モデルは米国製と同等性能で価格が数分の一とされる。
さらに中国では、モデル開発企業が6000社以上、生成AI利用者も4割を超え、企業がトークン消費量を評価指標に取り入れる動きも出ている。政策面でもAI普及を後押ししており、2030年にはスマート端末やAIエージェントの普及率90%以上を目標に掲げている。
こうした環境の中で、140兆トークンという規模はまだ出発点に過ぎない。Tokenが電気使用量のように当たり前に可視化されるようになれば、AIが社会に広く浸透する時代が本格的に始まるとみられる。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News
