2026年4月25日,ゴールデンウィーク直前の小江戸・川越は日本晴れ。
筆者は,今年も西武新宿線の本川越駅からぶらりと歩き,観光客たちと一緒に川越の風情を満喫しながら「ぶらり川越 GAME DIGG 2」(以下,ゲームディグ2)の会場へと向かった。

初開催であった昨年は,インディーゲームと街の散策を掛け合わせた“オープンタウン型のゲームイベント”として大きな反響を呼んだ本イベント。今回の会場には,時の鐘や蔵造りの町並みにほど近い「りそなコエドテラス」,川越市文化創造インキュベーション施設「コエトコ」に加え,徳川家ゆかりの名刹・蓮馨寺(れんけいじ)が加わった。

「お寺でゲームイベント」。
字面だけではなかなか想像しにくいかもしれないが,もちろんそれは筆者も同じだった。今回はこの蓮馨寺を中心に,イベントの様子をお伝えしよう。
関連記事

初開催となるインディーゲーム展示会「ぶらり川越 GAME DIGG」をレポートする。2025年4月13日に埼玉県川越市で行われた本イベントは,ゲームの試遊だけでなく,川越の街の散策も一緒に楽しめた“オープンタウン型のゲームイベント”だ。
[2025/04/17 15:36]
関連記事
![[インタビュー]歴史ある町にインディーゲームイベントが“爆誕”した理由とは? 「ぶらり川越 GAME DIGG」が目指す,町おこしではない地域密着](https://www.walknews.com/wp-content/uploads/2026/05/016.jpg)
ゲームイベント「ぶらり川越 GAME DIGG 2」が,2026年4月25日に埼玉県川越市で開催される。川越の伝統的な町並みを散策しながら楽しめるオープンタウン型イベントは,どのような経緯で生まれ,何を目指すのか? 実行委員会の4人に話を聞いた。
[2026/04/11 10:30]
お寺とは,もともと人が集う場所だった
さて,「お寺でゲームイベント」と聞いて思い浮かぶのは,香が焚きしめられた畳敷きの部屋に読経机を並べてゲームを展示し,ざぶとんに座って試遊……といった感じだろうか。実際,展示の一部はそれに近い環境で試遊することができた。

読者の皆さんはどんなイメージを浮かべただろうか
法要などに使う机と思われる。作品はzazantosの「悪役令嬢の庭師なんだが 庭を荒らしまくれと命令されました」(Xアカウント)
……と,若干ミスリードを誘ってしまったが,「お寺でインディーゲーム?」という疑問は,じつは境内に入った瞬間に霧散していた。
そこにあったのは,まさに“お祭りの縁日”そのものの賑わい。そもそも日本の寺社仏閣は,古より人が集うコミュニティハブであり,お祭りの総本山(?)のような場所なのだ。イベント事と相性が悪いわけがない。


ちなみに蓮馨寺は,かつて貧しい子を引き取り,僧としての教育を施した“子育ての寺”として知られている。
となれば,現代の子供たちが夢中になるゲームイベントをこの場が受け入れたのも,ある種の必然にすら感じる。さらには作品の「安産祈願」という意味でも,ゲーム制作者にとって縁起のいい会場といえそうだ。
おびんづる様。何も考えず頭をなでてしまったが,後で調べると自分の体の悪いところを撫でるものらしい。筆者は頭が悪……いや,童心に返りやすいのでちょうどよかった(?)



各ブースもお祭りの出店のようで,眺めて回っているだけでも楽しい
本イベントを主催する企業のひとつ,アトリエミミナのブースでは,「星のハルカ」「いるかの絵本」に並んで展示されていた「おまつりようかいバッティングゲーム」をプレイしてみた。
螺旋状にうごめく大量のコアラに,バットで打球を当てると大爆発!! 「なんだこれ!」などと笑いながら,子どもたちに混じって夢中でバッティングボタンを叩く。流し打ち,ひっぱり打ちで標的を狙う攻略要素もあり,近くSwitchなどでのリリースの動きもあるようだ。
アトリエミミナ 公式サイト
https://www.atelier-mimina.com/
いるかの絵本
https://www.atelier-mimina.com/%E3%81%84%E3%82%8B%E3%81%8B%E3%81%AE%E7%B5%B5%E6%9C%AC


おびんづる様のご利益がさっそくあった?
sutesangamesのブースでは「アベマリロケット」の試遊台の横で,room6代表である「まさしさん」こと木村征史氏にご挨拶。「アベマリロケット」は,「社長業ばかりでなく,たまには自分でもゲームを作りたい!」という気持ちから,Shuhei Miyazawa氏やPixel氏が主導し,一緒に作り上げたという。
RTA(リアルタイムアタック)的な遊び方ができるミッションクリア型のアクションのようだが,その画風(作風?)は80年代アーケード,個人的にはタイトーの横視点アクション味を感じた。

また境内に設営された特設ステージでは,ゲームディグのテーマソングなどを手掛けたオカベゲン氏,「星のハルカ」の曲を担当する高梨菖子氏が参加するアイルランド伝統音楽ユニット「きゃめる」など,5組のアーティストやユニットが,ほぼ終日にわたって演奏を披露していた。

心地よい音色に誘われるように,ぶらりと境内へやってきた家族連れが,そのまま各ブースへと流れていく──。
そんな様子を見ていると「オープンタウン型イベントというコンセプトって,こういうことだよな!」と思わず納得してしまう。

老若男女がこの場を楽しみ,祝福していた
そのほかにも,蓮馨寺での取材中の出来事で印象的だったものをフラッシュ的にお見せしていこう。

「都市伝説解体センター」のハフハフ・おでーん氏と,きっきゃわー氏。ひっきりなしに訪れるファンに,笑顔で対応していた
「都市伝説解体センター」公式サイト
https://umdc.shueisha-games.com/

パイオニアブースは「SOUND TECTOR」を展示していた。ネックスピーカー,フロントスピーカー,サブウーファーの組み合わせは,手軽ながらしっかりとした音場を構築できる
ゲーミングスピーカー「SOUND TECTOR」紹介ページ
https://jpn.pioneer/ja/gamingspeakers/

「コメンテーター」「みんなで空気読み。ワールド タイVer.」はブースが隣同士ということでポップも仲良く並んでいた。テレビのコメンテーターが視聴者の空気を読みすぎるのは困りものだが
「カニノケンカ・ニ」は,川越のシンボル「時の鐘」をカニたちが襲撃する,この日限定のポスターがイイ感じだった


子供たちが集まっていたのは「うんこ探偵」のブース。「たった一つのうんこを見抜け!」のコピー通り,コンポーネント内に真のうんこは少ない


「うんこ探偵」公式X
https://x.com/Unko_Tantei

「犯人はメイド」の作曲担当メイドさんの犯行現場をスクープ!

その横にいた「クワイエット急行909号室」の背景美術担当・ミヤハラコウヘイ氏も確保(別に悪いことはしていない)
街に溶け込んだ「インディーゲームのお祭り」
その後,筆者は蓮馨寺を後にしてほかの会場へ。「コエトコ」ではアナログゲームを集めた一角もあり,試遊する人の姿が絶えない盛況ぶりだった。

蓮馨寺からコエトコへの道は,街の観光ルートの一部。大正浪漫夢通りも観光できる

コエトコ内の旧栄養食配給所跡地。今年はアナログゲームが展示されていた
石乃浦骨董店は「ドッジボール入門」を出展。Joy-Conを握り,モーション操作でボールをキャッチ&スローするゲームだが,背景のシュールさも楽しかった


マイニンテンドーストア「ドッジボール入門」
https://store-jp.nintendo.com/item/software/D70010000112456?srsltid=AfmBOopkwXyKiH8E4seZjYgE_WQQlqjN1ZDLiwPU-lYPIVfiwwAJimb2

ミヤサンチが出展していた,寝ている子どもを起こさず絆創膏をはがすゲーム「ばんそうこうはがし」。なんともマニアックな……と思いきや,作者の身近に「絆創膏をはがされるのを怖がるお子さん」がいるそうで,それがモチーフになったとか
コエトコでは,地域のクリエイターによる展示も行われていた。「いとデザイン」ブースでは,ゲームディグとのコラボTシャツを,コーディネート例とともに展示しつつ販売。アトリエミミナの「ジラフとアンニカ」モチーフのシャツは,どこかセフィロトの樹や曼荼羅を思わせる神秘的なかわいさだ


お次は蔵造りの町並みを抜けて,コエドテラス会場へ。こちらもとても居心地の良い場となっていた。
お昼過ぎに訪れると,すでにキッチンワゴンのフードメニューに売り切れが目立つほどで,蔵造りの町並みや時の鐘を見に来た観光客が,こちらにも立ち寄っている様子だ。
それにしても,川越の空はきれいだ。


うなぎも川越名物のひとつ。軽めのメニューはすでに売り切れ
りりぃカンパニーの「だるま観察日記」は,だるま同士をぶつけて増殖させ,不思議なエネルギーを抽出するという,「もんじゅ」など高速増殖炉を連想させる観察&経営ゲーム。「だるまといえば高崎」的な常識を軽やかに覆してくれる怪しさがたまらなかった


ゲームディグのライブ配信に出演するなど,注目を集める「里山のおと 春さんぽ」。本作は春の里山を探索するポイント&クリック型のアドベンチャーとなる


昨年は,あいにくの雨に泣かされたが,今回は好天に恵まれた本イベント。単に「ゲームを並べる場所」として街を借りるのではなく,街の歴史や風物にも自然に親しめるイベントへ──。
そんな川越ならではの「お祭り」のひとつとして,ゲームディグが進化・定着していくことを期待したい。





