ニュージーランドで慰安婦少女像の設置認めず オークランド市が判断

ニュージーランド最大都市オークランドの地区委員会は4月28日、従軍慰安婦問題を象徴する少女像について、市有地への設置を認めない決定を下しました。韓国系団体「コリアン・ガーデン・トラスト」が寄贈し、オークランド郊外のバリーズ・ポイント保護区内にある市有地の韓国庭園での展示を計画していましたが、市民からの意見が分かれたことから、地域社会の分断を招きかねないと判断されました。

デボンポート・タカプナ地区委員会のトリッシュ・ディーンズ委員長は、「これは難しい決断であり、軽々しく下したものではない」と述べ、職員の助言と正式な意見公募プロセスを通じて地域社会から寄せられた意見を慎重に検討したことを明らかにしています。同委員長は「この像が象徴する歴史の重要性を認識しており、像がたたえようとしている出来事の生存者の方々を認める」とも述べました。

設置計画には、「日本が1932年から1945年にかけて、朝鮮半島、中国、東南アジアから最大20万人の女性を強制的に性奴隷にした」という趣旨の銘板を併設する予定もありました。しかし、2026年1月に実施された意見募集では、600件を超えるコメントが寄せられ、その約6割が設置に反対する内容でした。

大沢誠駐ニュージーランド大使は意見書の中で「日本とニュージーランドの外交関係に重大な影響を及ぼしかねない」として設置に強く反対する立場を表明していました。大使はまた、「ニュージーランドの素晴らしい多民族・多文化社会、そして日系と韓国系コミュニティーの間に、分裂や対立を引き起こす恐れがある」と指摘しました。ニュージーランド外務貿易省も、日本政府が少女像の設置について「正式な意見表明」を行ったことを明らかにしています。

地区委員会の経緯と市民の反応

オークランド市によると、韓国系団体から設置許可を求められた地区委員会は2025年半ばごろに一旦了承していました。しかしその後、像の持つ意味合いや設置への懸念が寄せられたため、地区委員会は2025年9月に許可を保留し、2026年1月から市民の意見募集を行っていました。

会議では、従軍慰安婦を巡る議論は日本と韓国の間の問題であり、ニュージーランドに持ち込むべきではないとの考えを示す委員もいました。一方で、多くの意見提出者が少女像を第2次世界大戦中の出来事を学び、振り返る機会として支持していたことも報告されています。最終的に地区委員会は、地域社会からの支持が欠如していることが示唆されたため、設置申請を却下する判断を下しました。

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