株式会社ゆう幸(本社:秋田県秋田市御所野下堤3-2-3、代表取締役会長兼社長 佐々木幸生)が運営する、秋田県・角館発の創作菓子ブランド「くら吉」は、台湾・高雄での常設出店に向け、現地法人の設立準備を開始しました。

秋田県内に店舗を構える菓子店による、台湾の百貨店系商業施設への常設出店計画としては初となる見込みです(※当社調べ)。

物産展や催事出店にとどまらず、常設店展開を見据えた挑戦です。

人口減少が加速するなかで海外市場に活路を求めることは、地方ブランドにとっても現実的な選択肢です。秋田という地方の菓子ブランドが、なぜ台湾を選び、なぜ現地法人という形にこだわるのか。その覚悟と戦略の背景を、代表取締役会長兼社長の佐々木幸生が語ります。

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代表取締役会長兼社長 佐々木幸生

秋田の素材を価値に変えてきたブランド

松屋銀座店を含む全国8店舗を展開しているくら吉は、「旬・菓・創」という考えのもと、旬の素材や地域のこだわり素材を活かした菓子創りを行っています。

当社が選び抜いた素材を用い、職人が一つひとつ手作りをすることで、高品質な菓子を提供してきました。

秋田発菓子ブランドくら吉 台湾常設出店に向け、現地法人設立に着手~秋田県内に店舗を構える菓子店として初、台湾の百貨店系商業施設への常設出店を計画

秋田発菓子ブランドくら吉 台湾常設出店に向け、現地法人設立に着手~秋田県内に店舗を構える菓子店として初、台湾の百貨店系商業施設への常設出店を計画

くら吉本店(秋田県仙北市角館)

使用する代表的な素材は、粒の大きさで知られる秋田県仙北市西木産の西明寺栗のなかでも、栽培方法にこだわる赤倉栗園の善兵衛栗や、秋田県上小阿仁村産の食べるほおずきコアニスイーツホオズキなどです。

秋田発菓子ブランドくら吉 台湾常設出店に向け、現地法人設立に着手~秋田県内に店舗を構える菓子店として初、台湾の百貨店系商業施設への常設出店を計画

また、日本一の生産量を誇る秋田産のラズベリーを活用し、あきたフランボワーズミニョンヌと名付けて、産学連携によるブランド化も進めています。

秋田発菓子ブランドくら吉 台湾常設出店に向け、現地法人設立に着手~秋田県内に店舗を構える菓子店として初、台湾の百貨店系商業施設への常設出店を計画

生産者と毎年行っている、あきたフランボワーズミニョンヌ推進会議の様子

こうしたコンセプトと秋田ならではの素材を活かした菓子を掲げ、首都圏のデパ地下に次々と出店してきたくら吉が、次に見据えたのが海外進出でした。

台湾・高雄「日本物産展」での反響

なかでも台湾は果実文化や贈答需要が深く根付いており、くら吉が得意とする善兵衛栗や北限の桃など、秋田の実りを活かした菓子との相性が良いと考えました。

また、日本の菓子や茶文化への関心が高く、素材の背景を大切にする台湾の食文化は、私たちの菓子づくりとも深く共鳴しています。

台湾を選んだのは、素材や背景まで受け止めていただける市場だと感じたからです。

2026年2月には、台湾・高雄で開催された日本物産展に参加し、どら焼きや大福などの実演販売を通じて需要の手応えを確認しました。

海外進出への足がかりとして、この物産展はテストマーケティングの場になりました。

催事は需要を見極める重要な機会ですが、ブランドを根づかせ、品質管理や売場づくりまで責任を持って運営するには、現地法人を立ち上げて常設の拠点を持つ必要があると考えました。

秋田発菓子ブランドくら吉 台湾常設出店に向け、現地法人設立に着手~秋田県内に店舗を構える菓子店として初、台湾の百貨店系商業施設への常設出店を計画

秋田発菓子ブランドくら吉 台湾常設出店に向け、現地法人設立に着手~秋田県内に店舗を構える菓子店として初、台湾の百貨店系商業施設への常設出店を計画

台湾の日本物産展で発売したKURAKICHIあきたフルーツクッキー缶(台湾アソート)

長年の計画に基づいた台湾進出

くら吉は台湾南部を代表する都市・高雄での展開に向け、着実に準備を進めてきました。

高雄を代表する百貨店系商業施設「漢神巨蛋購物廣場」との接点は、秋田銀行台北駐在員事務所の紹介がきっかけでした。

それまで日本貿易振興機構(JETRO)秋田の協力を得ながら、海外視察やフィージビリティスタディ(F/S:実現可能性調査)などの市場調査を実施し、台湾の日系百貨店や商業施設と関係を構築しながら、複数施設との比較検討を重ねてきました。

そのなかで、くら吉のブランド価値を高め、台湾事業の継続展開に適した出店先として『漢神巨蛋購物廣場』がふさわしいとの助言を受け、関係構築が始まり、最終的にPOP UP出店を実施しました。

資金調達においては、株式会社あきぎんキャピタルパートナーズおよびアグリビジネス投資育成株式会社によるエクイティ投資(※)に加え、株式会社日本政策金融公庫による融資支援を受けました。

市場調査、出店場所の選定、資金調達の各段階で、現地調査では、日本貿易振興機構(JETRO)秋田による市場調査支援、出店場所選定では、秋田銀行台北駐在員事務所による助言、資金調達では、金融機関による出資・融資と、複数の関係機関が役割を分担しながら、くら吉の挑戦を後押ししてくれました。

現地法人設立への着手は、その挑戦が構想段階ではなく、実行段階に入ったことを示しています。

秋田の素材を世界へくら吉のブランドの根幹には、秋田の素材への深いこだわりがあります。善兵衛栗、コアニスイーツホオズキ、あきたフランボワーズミニョンヌ――くら吉が使う素材は、生産者との関係性のなかで選び抜かれてきたものです。

今まで地方から都市へと場を広げてきたくら吉が、今度は秋田の素材が海外で評価される場をつくることは、地域全体へのさらなる貢献につながると考えています。

秋田発菓子ブランドくら吉 台湾常設出店に向け、現地法人設立に着手~秋田県内に店舗を構える菓子店として初、台湾の百貨店系商業施設への常設出店を計画

大きいものは赤ちゃんの握り拳ほどの大きさの善兵衛栗

台湾事業は、販売拠点の確保にとどまりません。秋田の素材や生産者の背景を、店頭・現地メディア・SNSを通じて伝える発信拠点づくりでもあります。

秋田の素材が海外で評価され、その価値が地域に循環する流れをつくっていきたいと考えています。

くら吉として、海外で通用することに意義があるくら吉は地方の菓子ブランドとして海外に挑戦することで、地域経済の活性化と外貨獲得の一助となることを目指します。

海外現地法人の設立は、商品管理、品質維持、店舗運営、顧客との接点など、全てを自社でコントロールする必要があり、現地の商習慣への対応や物流体制の構築など、乗り越えるべきハードルは決して低くはありません。

それでも、この挑戦が成功すれば、秋田に限らず、全国の地方ブランドに「地域から世界へ」という新たな可能性を示すロールモデルになり得ます。

地方の菓子ブランドが東京の有名百貨店に自社ブランドの常設売り場を構えることは、決して容易ではありません。

しかし、くら吉は首都圏の消費者にも通用するブランドであることを証明してきました。この成功のノウハウが、海外でも通用するのかを確かめたいのです。

「今までと違うことをやるなら、くら吉でなくてもいい。くら吉として、海外で通用することに意義があると考えています」

くら吉は、その覚悟を持って台湾へ向かいます。

※当社調べ。2026年3月16日時点。公開情報および関係機関(秋田県観光文化スポーツ部 食のあきた推進課、あきた企業活性化センター)への照会に基づく。

※エクイティ投資:企業に出資し、株式を取得する形で資金を提供する投資手法。

返済義務のない資金調達。