東アジア「深層取材ノート」
東アジア「深層取材ノート」(第326回)
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近藤 大介
ジャーナリスト・明治大学講師
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2026.4.20(月)
(画像:Saulo Ferreira Angelo/Shutterstock)
イラン情勢は、晴れ間が見えるかと思えば曇ったり、一進一退で予断を許さない。だが、日中関係の方は、ずっとどしゃぶりの雨だ。
4月17日午前8時52分、東京の中国大使館が、もう何度目だか分からない通知を、中国語で発出した。タイトルは、「日本の中国大使館は日本在住の中国公民に人身安全の注意を促す」。内容は、以下の通りだ。
「自己防衛の意識高め、できるだけ複数で外出するよう」
<ここ数年、日本社会の治安は、悪化の一途を辿っている。日本の警察庁の統計によれば、2021年から2025年まで、日本で刑法違反の容疑がかかった犯罪事件は年を追って増加していて、56万8000件から77万4000件になった。殺人・強盗・放火・強姦・誘拐・猥褻などの重罪は、8821件から1万5086件へと、約71%増加している。
最近、日本の自衛隊の現役隊員が、包丁を持って日本の中国大使館に壁を乗り越えて闖入した。ある右翼分子は公然と、(沿道で)マラソンを観戦していた中国人に迷惑行為を働いた。中国人留学生は東京の街中で、「ぶつかり族」の衝突を受けた。香港の観光客は北海道のレストランで殴られた。
中華人民共和国駐日本国大使館(写真:アフロ)
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こうした関係の事案は、日本国内で右翼勢力の活動が、日増しに活発化していることを反映している。中国人を蔑視する事案が顕著に増加していることに伴って、日本での中国人の安全リスクは不断に上昇しているのだ。
日本の中国大使館は、中国人がしっかりと安全防犯意識を高めることを強く促す。自己防衛の意識を高め、できるだけ複数で外出し、治安の悪いところや人の流れが集中する地域へ行くことを避けてほしい。
もしも右翼分子や「ぶつかり族」などの迷惑行為、挑発などに出くわした場合には、まずは自身の安全の確保を優先してほしい。冷静さを保持し、軋轢(あつれき)を避け、できるだけ証拠を残すようにしてほしい。そして適宜、警察に通報し、日本の中国大使館・領事館の助けを求めてほしい。(以下、計12カ所の緊急電話番号が羅列されているが省略)>
以上である。
昨年11月7日に、高市早苗首相が国会で、「台湾と存立危機事態」に関する発言を行って以降、中国外交部(外務省)およびその出先機関である東京の中国大使館は、事あるたびに「日本=危険国家」という注意喚起を、内外の中国人に向かって発し続けているのだ。
