写真提供:環境省/共同通信イメージズ
2025年、日本各地を震撼させたクマの“異常出没”。10万頭規模にまで増加したクマたちが、間もなく冬眠から目を覚まそうとしている。兵庫県が手掛ける徹底したデータ収集とEBPM(証拠に基づく政策立案)は、果たしてクマと人間の「共存」につながるのか。データドリブンな手法で同県のクマ対策をけん引する兵庫県立大学の横山真弓教授にJBpress Innovation Review編集部が聞いた。
「クマは増え続けている」クマ大量出没の不都合な真実
──2025年度のクマによる人的被害は全国で236件、そのうち13人が亡くなるという過去最悪の被害となりました。環境省の発表によると、出没件数は4万7000件以上と、最多だった2023年度からほぼ倍増しています。クマの個体数そのものが爆発的に増えているのでしょうか。
横山真弓氏(以下、敬称略) 西日本では少し状況が異なりますが、大量出没が起きた東日本については、そう考えるのが妥当だと思います。
──現状、全国規模で何万頭いると推測されますか。
横山 多くの地域で5年に1度、生息数調査が行われているのですが、直近の2020年ごろのデータを単純に足し合わせただけでも、5万頭以上に上ります。その後、2023年度には8000頭、2025年度は1万3000頭を捕獲しており、こうした捕獲数の著しい増加は、単に出没個体が増えただけでは説明がつきません。
兵庫や岐阜では、クマの個体数が年15%程度のペースで増えていることが分かっています。この増加傾向が全国でも続いているとすれば、5年前に5万頭だった個体数は、今や10万頭はいなければつじつまが合わないと考えています。
兵庫県立大学 横山真弓教授(撮影:本永創太)
──5年で倍増した可能性があるのですね。2025年には緊急銃猟が認められるなど、国も捕獲強化に向けて動き出しましたが、効果的な対応ができなければ、5年後には20万頭規模にまで増える可能性もありますか。
