事件、事故で犠牲になった人の等身大パネルなどを展示する「
生命(いのち)
のメッセージ展」が初めて開催されてから、今年で25周年を迎えた。福井県敦賀市のきらめきみなと館では11日、記念した展示が始まり、来場者に改めて命の重みを伝えている。(清水翔、高山智仁)
等身大パネル「メッセンジャー」が150人分並び、命の尊さを伝える会場(福井県敦賀市で)
メッセージ展は、息子(当時19歳)を飲酒運転の車による事故で失った鈴木共子さん(76)(神奈川県)が2001年に開始。その後、NPO法人「いのちのミュージアム」を設立し、全国巡回展を実施している。東京都日野市の廃校舎に常設展示室を設けていたが、老朽化のため24年、敦賀市の
愛発(あらち)
公民館に移転した。
会場では、「メッセンジャー」と呼ぶ犠牲者の等身大パネル150人分を展示。本人の写真や家族の言葉などを貼り、足元には履いていた靴を置く。鈴木さんは「一番伝えたいことは、『今ある命は当たり前じゃない』ということ」と話す。
この日は記念講演会もあり、鈴木さんらと交流のある安倍晋三元首相の妻、昭恵さんが登壇した。
「被害者や遺族を増やさないためには、加害者を作らない世の中にしないといけない。子供たちに十分に愛情を与える人たちが多くいる、そんな温かい社会になれば」と願い、「いつか主人のメッセンジャーもできたらいいな」と語った。
メッセージ展は12日まで。午前9時~午後3時、入場無料。
「前向きな気持ちにもなって」 実行委代表・清水さん
NPO法人いのちのミュージアム副代表理事で、敦賀でのメッセージ展実行委員会代表の清水正富さん(73)に活動への思いなどを聞いた。
活動への思いを語る清水さん(福井県敦賀市で)
――活動に参加したきっかけは。
敦賀市で保険代理店を営む私が顧客に加害者になってほしくないという思いから、2008年に鈴木さんをモデルにした映画を上演した。それから18年間続けてこられたのは、悲惨な事故や事件で亡くなる人をなくしたいという強い思いがあるからだ。
――メッセンジャーに対する思いは。
メッセンジャーは生きたくても生きられなかった方々だ。見て悲しむだけでなく、「この方々の分も生きるんだ」という前向きな気持ちになってもらえるとうれしい。「死に場所を求めていた際に展示を見て、なんて愚かなことをしようとしていたんだと思いとどまりました」という趣旨の手紙をいただいたこともある。
私自身、脳
梗塞(こうそく)
を4回患って、5年前には右半身
麻痺(まひ)
になったが、元気でいられるのはメッセンジャーたちのおかげだ。
――今後の活動は。
年に1回は敦賀市役所でメッセージ展を開催していきたい。メッセンジャーを見て事故を起こさないと胸に刻んでも、人の記憶は薄れてしまう。定期的に開くことで思いを継続的なものにしていきたい。
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