
横須賀朝市で振る舞われたエビせんべい
廃止した神奈川県の水道施設でエビが陸上養殖され、14日の「横須賀朝市」(横須賀市)でお披露目された。県庁職員が企画・提案した産学官の連携事業。甘く、皮がやわらかく育ち、今後の生産拡大や遊休施設の有効活用にも期待が広がる。
県財産管理課の岡田直晃副主幹が、横須賀市内の旧木古庭揚水ポンプ所でのエビ養殖を提案。市内の電気設備業「サンエー」と神奈川大が協力し、昨年10月に実証事業が始まった。
養殖には広く流通している「バナメイエビ」を選んだ。2千匹強の稚エビを4カ月ほどかけて、約1700匹を10センチ以上に育てることに成功した。
サンエーの鈴木龍成専務は「甘く、ぷりぷりとした食感で、皮もそのまま食べられるほどやわらかい」と成果を語る。遊休施設活用についても「旧ポンプ所は屋根もコンクリート壁もありエネルギー効率が良く、養殖で大切な水温管理面でプラスだった」と高評価だ。
同社では、主軸事業の太陽光発電を活用し、自社施設でクルマエビ養殖も手がける。電気設備業者が養殖に取り組む理由について、横山真吾課長は「太陽光も食べ物もエネルギー源。自社の技術で食料自給率アップに貢献したい」と話す。
朝市では、育てたエビを使ったクラムチャウダーや皮ごと焼いたせんべいが振る舞われた。東京都練馬区の猪瀬まりさんは「生で食べてみたくなった」と遊休施設育ちのエビせんべいの味に満足した様子だった。神奈川大による成分分析結果も掲示された。
事業は本年度から始まった「県庁版社内ベンチャー制度・1期生」に採用された8件のうちの一つ。今回の実証事業の結果も踏まえ、今後、廃止した水道施設の活用方法の検討を進める。県財産管理課によると、統廃合や老朽化などで廃止した県の水道施設は45カ所ある。(篠ケ瀬祐司)
