公演に向けて稽古に励む学生(大阪府茨木市の梅花女子大で)
梅花女子大(大阪府茨木市)の学生による歌劇団「劇団この花」は、有名演出家の指導を受けて毎年、新作ミュージカルを披露するなど、大学としては異色の本格的な公演を重ねている。10回目を来月に控え、稽古に励む劇団員らの様子を追った。(佐々木伶)
劇団この花の昨年の公演の様子=梅花女子大提供
同大学の実習室で昨年12月、新作ミュージカル「THE CHINESE CONSCIENCE」の通し稽古が行われた。本番まで1か月半あるが、セリフは既に入っているようで、劇団員の学生11人は台本を持っていない。ダンスもぴたりとそろう。
「歌は音符を歌うのではなく、セリフの延長と考えて」「この場面でなんで無表情になるのかしら」。熱心に指導するのは、菊田一夫演劇賞など多数の受賞歴がある謝珠栄教授だ。元タカラジェンヌで、宝塚歌劇などの演出を手がけた豊富な経験がある。2016年の劇団この花発足時から、芸術監督を務める。
刺激的、精神面鍛える
今年の演目は、それぞれが孫文や蒋介石と結婚した「宋家の三姉妹」の米留学時代を描くオリジナル作品。1900年代初頭、人種差別などをテーマとする難しい内容だ。謝教授は、劇団員が臨機応変な表現力を身につけられるよう、アドリブの芝居を求めることもある。
2年の沢頭小雪さん(20)は「みんな全力でアドリブに挑戦するので、刺激的で面白い。技術面も成長したが、何よりも、精神面や一緒に舞台をつくる協調性が鍛えられた」と話す。
歌劇団は、本格的な舞台人の育成と、地域の文化芸術振興を目的に創設された。謝教授をはじめ、劇団四季出身の舞踏家ら第一線で活躍してきた講師陣が指導にあたる。
稽古は週3回。踊りや歌の基礎レッスンのほか、脚本ができあがる夏~秋以降は、2月の本公演に向けた練習が中心となる。地域での小規模公演も行う。
大学のブランド力向上に貢献するだけでなく、学生の学びを広げる場として発展してきた。稽古は全学生対象の選択科目「ミュージカル総合」の一環で、単位が付与される。
学生の演技を指導する謝教授(大阪府茨木市の梅花女子大で)
同大学の歌劇団担当者は「これまでに付属校から多くのタカラジェンヌを輩出してきた伝統があり、表現による学びの場として創設した。踊りや歌だけでなく、作品の背景を調べるなど総合的な力が身につく」と語る。
オリジナル作品の上演も、「登場人物がどんな気持ちだったのか、お客さんにどう感じてもらうか、一から探ることが学びにつながる」(謝教授)との期待がある。
演劇専門の新学科
舞台俳優として活躍する卒業生もいるが、大半は一般企業に就職する。謝教授は「他人を思いやりながら共同作業で舞台を作り上げていくことは、一般社会に出て求められる能力に通じる」と話す。
活動で得られた教育の知見は、来年度、文化表現学部に開講する「舞台芸術表現学科」で生かされる。演劇が主専攻で、2年生全員がロンドンで研修を受けるほか、演出や制作も学べる。今後は、同学科の学生が劇団員の対象となる。
1月号
劇団この花の公演は2月14、15日、大学内の沢山記念ホールで。チケットは全席指定3500円。問い合わせは歌劇団事務局(072・643・6352)。
ミュージカルや舞台美術コース
特色ある内容でミュージカルや演劇を学べる大学は他にもある。
大阪芸術大舞台芸術学科(大阪府河南町)にはミュージカルコースがあり、「レ・ミゼラブル」の出演などで知られる島田歌穂教授らの指導を受けられる。舞台美術や照明などの専門コースもあり、様々なコースの学生が一緒に舞台を作り上げる経験が積める。
兵庫県が2021年に開学した芸術文化観光専門職大(豊岡市)は、劇作家の平田オリザさんが学長を務める。講師陣に世界的なバレリーナらがそろい、演劇を中心とした街づくりの一翼を担っている。
関西発の最新ニュースと話題
あわせて読みたい
