オーストラリア政府は2025年10月、国家情報機関コミュニティを束ねる「国家情報長官(Director-General of National Intelligence)」であり、Office of National Intelligence(ONI)トップのアンドリュー・シアラー氏が2025年12月に任期満了となることで、同氏を2026年初頭に駐日大使へ指名する意向も公表しています。
なお、インテリジェンス中枢経験者が駐日大使になるのは極めて異例であり日本のインテリジェンスやサイバーレジエンスにも影響が発生します。
シアラー氏の役割
シアラー氏は、豪州の国家情報コミュニティ(複数の情報機関)を統合的に見渡し、首相ら意思決定層に情報評価を提供する中核ポジションにありました。
同氏の役割は日米豪の連携を外交レベルから作戦レベルに引き上げる役割を担っています。
シアラー氏は過去に米国の有力シンクタンクCSIS(戦略国際問題研究所)に在籍しており、AUKUS(米・英・豪)の安全保障協力確立の立役者とされ
ワシントンの対中戦略の中枢に人的ネットワークを持っています。
その為米国の安全保障コミュニティにおける同氏の信頼は厚く、同氏が東京にいることで、対中情報の収集およびイギリスのMI5や米国防総省やCIAの意向が、タイムラグなしで日本の首相官邸や国家安全保障局(NSS)に伝わる体制が整いました。
豪州の目的:ファイブアイズ連携の為の日本の情報保全体制確立と査定
前段で解説した通り、シアラー氏は米国からの信頼も厚いです。
オーストラリアにとって最大の国家プロジェクトである「AUKUS(オーカス:米英豪の安全保障枠組み)」は、原子力潜水艦だけでなく、AI、量子技術、極超音速ミサイルなどの先端技術を共同開発する事も目的としており、日本は第2の柱と呼ばれる先端技術分野(AI、量子、無人機など)で連携を強化しています。
また、豪州は2025年8月、日本の「もがみ型護衛艦」の能力向上型を次期汎用フリゲート艦として選定し、日豪で共同開発・生産すると発表しました。
このことから日本と豪州の軍事や先端技術の連携はより強化する方針になっています。
しかしAUKUSの連携で日本の技術力はこの開発に不可欠ですが、日本は伝統的にスパイ防止法が弱いなど「情報の保全」に懸念がありました。
このことから官民・サプライチェーンで日本と連携する為に情報保全のプロである同氏を送り込むことで、日本のセキュリティクリアランス(適性評価)制度が「ファイブ・アイズ(米・英・豪・加・NZ)基準」で運用されているかを現場で厳しくチェック(査定)し、技術統合を可能にするための環境を整え
日豪関係を単なる「友好国」から、有事において共に戦える「実質的な軍事・情報同盟国」へと完全にアップグレードすることにあります。
過去10年で情報色が強い駐日大使
対中情報収集の為に、ここ10年の主要国駐日大使はインテリジェンス部門出身者が任命される事が多く
シアラー氏の赴任は過去から比べても極めて情報色が強くなっています。
駐日大使
国
在任期間
情報・安全保障関連のバックグラウンド
アンドリュー・シアラー(Andrew Shearer)
オーストラリア
2026予定
元国家情報局長官(Director-General of National Intelligence)として情報機関統合トップ経験者。過去10年で最も「情報的色彩が強い」と評価。
ラーム・エマニュエル(Rahm Emanuel)
米国
2022–2025
外交・政策分野出身。NSCや安全保障ラインとの密接連携が深く、情報コミュニティ統合政策を強化(CIA/NSC等と協働)。米国の対中戦略・インテリジェンス連携重視の人事。
ジュリア・ロングボトム(Julia Longbottom)
英国
2021–(継続)
外務省で国家安全保障・防衛政策部門の要職を歴任。MI6等との政策接続・英国情報体系との連携経験があり、英日安全保障対話で存在感。
フィリップ・セトン(Philippe Setton)
フランス
2021–(継続任期)
外務省内で安全保障・インテリジェンス政策の中心部門に長年所属。欧州の対中安全保障協力の窓口的役割。
ギラッド・コーヘン(Gilead Cohen)
イスラエル
2021–
国家安全保障重視外交。モサド等と高度に連携する外交官路線。
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投稿者:三村
セキュリティ対策Labのダークウェブの調査からセキュリティニュース、セキュリティ対策の執筆まで対応しています。
セキュリティ製品を販売する上場企業でSOC(セキュリティオペレーションセンター)やWebサイトやアプリの脆弱性診断 営業8年、その後一念発起しシステムエンジニアに転職。MDMや人事系のSaaS開発を行う。
