愛する石川で極める和食道 ロシア出身板前 フェディアさん 「新鮮な魚 味わって」

看板メニューの海鮮丼ランチを提供するフェディアさん=金沢市西念で

 金沢市西念の金沢中央市場通り商店街にある和食店「んまいげん」で、ロシア出身のフェディアさん(31)が板前として腕を振るっている。市内で8年前から料理人の経験を積んできたフェディアさん。女性で外国出身という和食業界では珍しい存在だが「石川の魚は本当においしい。新鮮な魚を味わってほしい」と真摯(しんし)に和の世界と向き合っている。 (細見春萌)

 んまいげんの看板メニューは、毎朝市場で競り落とした新鮮な魚介を使った海鮮丼。注文を受けると、独りで厨房(ちゅうぼう)に立つフェディアさんが手際良くさばき盛り付ける。にぎりずしやてんぷらも手がけ、流ちょうな日本語で接客も担う。

 フェディアさんはロシア第2の都市・サンクトペテルブルク出身。幼い頃からポケットモンスターやセーラームーンといったアニメに親しみ、いつか日本に住みたいと夢見て育った。

 2016年春に初めて東京と金沢を旅行で訪れ、桜が舞う風景の美しさに感動した。特に「石川は山も海もお城もあって、安全で住みやすい」と惚れ込み、翌年に金沢へ移住して料理旅館で働き始めた。県内の男性と結婚し娘も生まれた。

 ロシアには日本食の店が多く、もともと和食好き。さらに来日後は日本酒にも興味が湧き、「どぶろく特区」の中能登町でどぶろく醸造に挑戦しようと、拠点のレストラン開業へ準備し、米作りを始めていた。

 しかし、能登半島地震で建物が被災し計画は頓挫。諸事情から料理旅館も辞めることになり、金沢で職場を探していた時、料理人を求めていた「んまいげん」を知人から紹介された。

 働き始めたのは10月。外国人観光客が多い近江町市場に比べ、市中央卸売市場近くの同店は客の99%が日本人。外国人が和食を手がける姿を見て驚く人もいるが「(金沢の魚は)やっぱりおいしいね」と話すのを聞くとやりがいを感じる。

 祖国は今もウクライナ侵攻を続ける。交流サイト(SNS)などで戦争反対を示しており「帰ったら捕まるかも」と不安を抱く。「日本で料理の道を歩き続けたい」という覚悟は強い。

 同店運営会社の今井章人社長は「日本人が作る日本食は決まり切った王道のものが多い。外国人の目線で、新しい感性を取り入れてほしい」と、フェディアさんに期待を寄せる。

 んまいげんはランチ営業が主だが、土・日曜などは夜も営業。水曜定休。

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