山形美術館(山形市)で、「富岡鉄斎 紅花商人ゆかりの(山)長谷川コレクション」が12月12日から開催されます。

本展は、明治・大正期に「最後の文人画家」と呼ばれた富岡鉄斎(1836~1924年)が手がけた書画を、紅花商人の一族として京都と深い縁を結んだ(山)長谷川家のコレクションを中心に紹介する展覧会です。

京都上京区で鉄斎邸と近所同士だったことから生まれた交流によって集められた作品や書簡に、山形美術館の収蔵品を加えた約40点が一堂に会します。日本各地を旅して描いた風景や、故事や古典を題材にした人物・神仙図、花鳥画まで、多彩な書画から鉄斎が思い描いた文人の理想世界が立ち上がります。

紅花をきっかけにつながった京都と山形の歴史的な関わりにも触れながら、近代日本美術史における鉄斎の魅力を味わうことができるでしょう。

《月夜梅花図》1909(明治42)年 山形美術館(山)長谷川コレクション
※(山)は○の中に「山」の漢字が入ったもので、同家の屋号を表しています。

富岡鉄斎 紅花商人ゆかりの(山)長谷川コレクション

会場:山形美術館(山形県山形市大手町1-63)

会期:2025年12月12日(金)~2026年1月25日(日)

開館時間:10:00~17:00(最終入場は16:30まで)

休館日:月曜日(祝日の場合は開館し翌日休館)、12月28日~1月3日

観覧料:一般1,200円、高大生600円、小中生400円
※土曜日、日曜日午前は中学生以下無料

アクセス:JR山形駅(東口)から徒歩約15分/山形駅前から「天童(荒谷経由)」「山寺」行きバスで約5分「美術館前」下車徒歩約3分/山形自動車道「山形蔵王IC」から車で約15分

詳細は、山形美術館公式サイトへ

本展の見どころ

明治・大正の時代、「最後の文人画家」として知られた富岡鉄斎(1836~1924年)の展覧会を開催します。江戸末期の京都に生まれた鉄斎は、幼い頃から国学、儒学、仏教等の学問を広く修め、書画にも親しみました。幕末の動乱期には勤皇学者として国事に奔走し、明治維新後は神官の公職を経て、89歳で亡くなるまで、詩書画に通じた文人画家として多くの書画を世に送り出しました。日本各地を旅して描いた真景図や、文人の理想郷を描いた山水画、中国や日本の故事、古典に取材した人物画や神仙画、風俗画、花卉・鳥獣画など、そのモチーフは多岐にわたります。奔放な筆致と豊かな色彩から生み出された作品は、近代日本の美術史において傑出した存在感を放っています。

山形美術館は、開館後間もない1968年より、紅花商人の流れを汲む長谷川家所蔵の作品を受け入れ、東洋日本美術のコレクションを拡充させてきた経緯があります。当館に関わりのある二つの長谷川家のうち、(山)長谷川家では、京都上京区にあった同家邸宅が鉄斎邸と近所だった縁により交流を重ね、鉄斎の作品と手紙類の関連資料を所蔵しています。

本展では(山)長谷川家の協力のもと、同家のコレクションに当館の収蔵品を加え、鉄斎作品と関連作、約40点によって構成します。鉄斎が理想とした豊かな文人文化とともに、紅花がもたらした京都と山形の交流をお楽しみください。

《吉野山春景・するが宇津山秋景図》右隻1911(明治44)年・左隻1912(明治45)年(山)長谷川家
本展出品作品を一部ご紹介
《評山品水図》1869(明治2)年 山形美術館(山)長谷川コレクション
《鉄道人墨戯冊》1903(明治36)年 山形美術館(山)長谷川コレクション
《飲中八仙図》1909(明治42)年(山)長谷川家
《狂濤万里図》1897(明治30)年(山)長谷川家
《漁家楽図》1922(大正11)年(山)長谷川家
《蝦夷人酒宴図》(山)長谷川家

山形県は、江戸時代から良質な紅花の産地として京都の商人たちと深い結びつきを持ってきました。(山)長谷川家もその一つで、紅花取引を通じて山形と京都を結んできた家です。本展では、山形美術館の館蔵品と長谷川家の作品約40点を一体となって展示。鉄斎が託した豊かな文人文化の理想とともに、紅花がもたらした文化交流の歴史にも光をあてており、京都と山形を往来した人や物語を想像しながら作品を味わえる構成になっています。また会期中は、「山形銀行収蔵品によるテーマ展」や「フランス近代絵画の精華 吉野石膏コレクション・服部コレクション」も共通料金で鑑賞できます。鉄斎の世界とあわせて、近代から現代にかけての多彩な美術作品を一度に楽しめるのも魅力です。(美術展ナビ)

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