
木片が舞う!丸太を切り倒す「スタンディングブロックチョップ」(C)STIHL TIMBERSPORTS(R)
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「ティンバースポーツ」という競技をご存じだろうか。チェーンソー、のこぎり、斧を駆使し丸太を切り倒してタイムを競う歴史あるスポーツ。ドイツに本社を置く世界No.1チェンソーブランド「STIHL(スチール)」社によるエクストリームスポーツの国際大会がこのほど、イタリア・ミラノの「アリアンツ・クラウド・アリーナ」で開催された。静寂を破って響く一撃、木くずが舞い、歓声が爆発する――。力と技巧、そして興奮が共存する舞台で繰り広げられたのは観る者の心を震わせる“木の格闘技”だった。
原点は19世紀の木こり対決…伝統の林業から世界競技へ
3000人超の集客数を誇るアリーナには熱気が充満していた。この日開催された団体戦には、ドイツ、イタリアなどの欧州各国、オーストラリア、米国など木こり文化を誇る18カ国の代表が集結。各国の筋骨隆々の選手たちが登場するたびに爆音のようなロックが流れ、ステージ頭上の巨大スクリーンには個々の真剣な表情が映し出される。観客たちは自国の国旗を振りながら選手の一挙手一投足に歓声を上げるなど、さながら音楽フェスを思わせる熱気が渦巻く。
団体戦は、1チーム4人の選手が4つの種目をリレー形式で行い、1対1でタイムを競うノックアウト方式。チェーンソーで丸太を切断する「ストックソー」、丸太の上に立ち、斧で股の間を通して丸太を両側から切断する「アンダーハンドチョップ」、刃渡り約2メートルの大型のこぎりで引き切る「シングルバック」、そして最後は立てた丸太を斧で両側から切り倒す「スタンディングブロックチョップ」。1つの種目が終わると次の選手にバトンが渡され、早くゴールしたチームが勝利となる。
0・1秒を争う世界。スタートと同時にチェーンソーのエンジン音がうなりを上げ、選手が丸太をスライスしていく。爆音が静まると次は斧の一撃、さらに巨大のこぎりを引いて原木を削ぎ、最後は斧でバットスイングのように巨木を叩き割る。刃と木の硬質かつ重厚な接触音が響き渡る中でのトーナメント戦。舞台上には木くずや大小の木片が大量に飛び散るが、勝負が決まると同時に“お掃除隊”が登場し手持ちのブロワーやバッテリー(駆動)式のスイーパー(床掃除機)を使って集塵していく。あっという間に次の試合の舞台がセッティングされることで、流れが途切れることなく会場の熱気もキープ。ちなみにそれら機材はもちろんスチール社製だ。
ティンバースポーツの歴史は19世紀後半までさかのぼる。オーストラリアのタスマニアやニュージーランド、米国など世界中の木こりや農夫が「誰が一番早く丸太を切れるか」を競ったのが起源だという。1985年にSTIHL社が正式な国際競技として体系化した。
専門知識を持つウッドマネジャーによって管理された同じクオリティーの木材を使用することで競技の公平性も保たれている。そして競技は、優勝候補の米国が準々決勝でポーランドに敗れる大番狂わせが起こる中、オーストラリアが決勝でスウェーデンを破り6連覇、10度目の優勝を達成した。
屈強な選手たちのムキムキとしたシルエットとともに、原木を削いでいく迫力とスピード感は視覚的にも衝撃的。木を切るという原始的な作業の裏で勝負を決めたのはパワーだけでなく、刃を入れる角度の正確さと体幹のブレや緊張感を制御する技術でもあった。
人と木、技とスピードが交錯するその瞬間、スポーツの原点である「人間の力の美しさ」も確かに感じた。力と技巧、興奮…その全てがひとつのエンターテインメントとして確立しているティンバースポーツ。スチール社が創業100周年を迎える来年2026年は、同社お膝元のドイツ・シュツットガルトで開催されることも決定。記念の年にどんなドラマが待ち受けているのか――期待が高まる。
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