感情より証拠、今こそEBPM

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出典:日経クロステック、2025年8月22日
 
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

 政策を立案する際に、客観的な事実や統計データなどの証拠に基づいて判断する「エビデンスベース」に対して、限られた事例や個人の経験などに基づいて判断することを「エピソードベース」と呼ぶ。インターネットやSNSの普及によって感情的な情報の発信・拡散が容易になる中、エビデンスベースによる政策立案である「EBPM」(Evidence-Based Policy Making)の重要性が高まっている。

 「社会でサイロ化しているデータが存在する。そこでデータ価値の創造を目指した出会いの場を用意した」。東京都デジタルサービス局データ利活用担当課長の大隈啓祐氏は、データ連係基盤・コミュニティー「東京データプラットフォーム(TDPF)」についてこう語る。TDPFの会員数は2025年7月時点で329。その約3割が行政機関、約7割が民間企業などの法人である。

 EBPMを推進する上で鍵となるのが、目的に応じたデータの収集である。公共の統計データを探し出し、組み合わせて活用しやすくする仕組みの整備は進んできた。一方、統計データとして公開されていないがEBPMに役立つデータも世の中には膨大に存在している。こうしたデータを取得するには民間企業との協力が必要となる場合が多い。

 この「民間企業の協力で収集できるデータ」は、新たなEBPMを生み出す土壌となる。ただし、EBPMの実施者である行政機関が、民間企業の保有データやデータ収集技術などに精通しているわけではない。データ収集の可能性に気づけなければ、その政策立案にEBPMを適用しようとも考えないはずだ。この課題を解決しようと構築されたのが、冒頭で紹介した東京都のTDPFである。

行政機関と民間企業をつなぐ東京データプラットフォーム(TDPF)

行政機関と民間企業をつなぐ東京データプラットフォーム(TDPF)

(出所:日経クロステック)

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 TDPFは数年の実証や検証を経て、2024年1月に本格運用を開始した。会員登録は必要だが、無料で利用できる。行政機関と民間企業、研究機関などを利用者として想定する。行政機関と民間企業など、データを利用する側とデータを提供する側をマッチングし、新たな知見や価値の創出を支援する。単なるデータ流通の仕組みではなく、利用者同士をつなげるコミュニティー形成の場という側面もある。

 TDPF上には民間企業などが保有するデータの一部が公開されており、自治体などはデータの内容を自由に見ることが可能だ。それを閲覧した自治体などの担当者は、世の中にどのようなデータが存在するのかを把握できる。EBPMを実施するに当たって追加データが必要となる場合などは、当事者間で契約することになる。

TDPFの主な機能

TDPFの主な機能

(出所:東京都の資料を基に日経クロステックが作成)

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