2025年10月19日 6:00
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埼玉県にある既成の土葬可能墓地=2023年5月

 宮城県知事選(26日投開票)で、県が検討したものの今年9月に白紙撤回した土葬可能な墓地整備に関する断片的な情報が交流サイト(SNS)上で広がり、事実と異なる内容の投稿も拡散している。これまでの経過を改めて振り返る。

「検討すること、もうない」

 土葬可能な墓地整備の検討は、村井嘉浩知事が昨年10月の県議会本会議で初めて表明した。国内に既にある土葬墓地の管理運営状況など関連情報の収集を事務方が進めていた。

 今年3月の県議会では、村井氏が「外国人だけでなく、日本人でも土葬を希望している人がいる」と強調する一方、議員からは「多文化共生は理解するが、風評の不安を訴える声があるのも事実」などと慎重な対応を求める声が噴出した。

【動画】 どう考える?ムスリム「土葬墓地」問題 宮城県議会で議論紛糾(河北新報オンライン)

 知事選が迫る中、村井氏は9月日の県議会で検討そのものを白紙撤回する考えを明らかにした。理由について「県民から不安の声が寄せられ、墓地設置の許可権限を持つ市町村長の理解が得られなかった」と説明し、「私が知事として土葬墓地を検討することはもうない」と言い切った。

【動画】村井嘉浩知事が「土葬墓地」の整備検討を白紙撤回<議会答弁&囲みインタビュー>(河北新報オンライン)

 SNS上では、県が2020年2月にいったん取り下げた後、県議会に議案を再提案して導入が決まった「宿泊税」の議論を引き合いに「土葬墓地も再提案する可能性がある」とする投稿が散見される。ただ、宿泊税の取り下げはコロナ禍対策を優先させるため。土葬問題とは異なり、導入する方針は撤回していなかった。

宮城県、宿泊税導入先送り 関連条例案を取り下げ 新型肺炎の影響懸念(河北新報オンライン)

国内火葬率は現在99・97%

 土葬自体は墓地埋葬法で認められている。1940年代の火葬率は50%台で、土葬と火葬は半々だった。高度経済成長期以降、処理能力の高い火葬場が全国各地に設置され、火葬率は70年代に70%を超え、現在は99・97%で世界一の水準となっている。

火葬に関する国際統計(出典:THE CREMATION SOCIETY)

 墓地の設置運営の許可は市町村の固有事務で、市町村長が許可権限を持つ。土葬を認めるか否かはそれぞれ条例で規制を設けて判断している。国内にはキリスト教系を中心に、少なくとも10カ所以上の土葬の受け入れ墓地が存在する。

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