新潟市美術館(新潟市中央区)で「長坂コレクション はじめましての西洋絵画」が11月1日から開催されます。

長野市在住の所蔵家・長坂剛氏は、長年にわたり「伝統的な絵画手法によって描かれた正統派のヨーロッパ絵画」を蒐集してきました。

本展では、そのコレクションより、17世紀のバロック美術と19世紀の近代絵画を中心に58点の油彩画を紹介します。そこにはその時代の雰囲気や好みをよく伝える作品が数多く含まれています。絵画が制作された国もさまざまで、バロック美術の栄えたスペイン、イタリア、フランス、そして、フランドル(現在のベルギーやオランダ)、近代絵画においては、イギリス、ロシアなどが加わり、まるでヨーロッパ中を旅するような感覚でご覧いただけます。初めて西洋絵画に触れる方でも、肩肘張らずに気軽に楽しめる展覧会です。

オノリオ・マリナーリ 《聖チェチリア》 制作年不詳

開館40周年記念
長坂コレクション はじめましての西洋絵画

会場:新潟市美術館 企画展示室(〒951-8556 新潟市中央区西大畑町5191-9)

会期:2025年11月1日(土)~2026年1月12日(月・祝)

開館時間:9:30~17:00(観覧券の販売は閉館30分前まで)

休館日:月曜日(ただし11/3・11/24・1/12は開館)、12/28~1/3

観覧料:一般 1,200円/大・高校生 900円/中学生以下 無料

問い合わせ:TEL025-223-1622

アクセス:
新潟駅万代口バスターミナルから
〈C6八千代橋線〉約16分→「西堀通八番町」下車 徒歩約5分
〈B1萬代橋ライン〉約10分→「古町」下車 徒歩約12分
〈観光循環バス〉約30分→「北方文化博物館新潟分館前」下車 徒歩約6分

公式SNS:Facebook Instagram
展覧会詳細は、新潟市美術館公式サイトまで。

見どころ
1.まるでヨーロッパ旅行!旅する気分でお楽しみください

本展では58点の油彩画を展示しますがその制作地はさまざまです。バロック美術の栄えたスペイン、イタリア、フランス、そして、フランドル(現在のベルギーやオランダ)、近代絵画に至るとイギリス、ロシアなどが加わり、より多彩な作品を楽しんでいただけます。展覧会を通して、ヨーロッパ旅行の気分を味わえる展覧会です。

2.当時の市民が親しみ愛した絵画たち

長坂コレクションの画家たちは、聞きなれない名前が多いかもしれません。美術の教科書でよく目にするような著名な画家たちは含まれていませんが、そうした巨匠たちの作品を手元に置いて楽しめたのは特権階級の人たちのみ。当時の市民が直接目にする機会は少なかったでしょう。一般の人々に信仰の尊さを教え、風景を描いて自然の美しさに目を開かせ、風俗画によって生きる楽しみ、喜びを実感させたのは、実のところ巨匠の周辺の画家たちだったともいえるのです。展覧会では、市民が親しんだ、その時代の雰囲気や好みを直接感じ取ることができるでしょう。

展示構成
<宗教画>

長坂コレクションの主軸となるセクションです。バロック美術が栄えた時代、1600年代に描かれた絵画を中心に構成されています。「バロック」とはオランダ語で「歪んだ真珠」を意味し、意図的にバランスを崩したダイナミックな構図、光と闇の強い対比など、劇的な空間が特徴です。カトリック教国であるフランドル(現在のベルギーやオランダ)、スペイン、イタリアの3つの国で多く描かれました。

ヘンドリック・ド・クレルク《羊飼いの礼拝》 制作年不詳
マリアーノ・サルバドール・マエーリャ《聖家族と幼い洗礼者聖ヨハネ》 制作年不詳
<世俗画>

世俗画とは、宗教とかかわりをもたない主題であり、俗世間を扱う作品のことを指します。1600年代にスペインから独立したオランダでは、商業活動を背景とする経済的繁栄によって絵画の黄金時代を迎えます。偶像崇拝を禁ずるプロテスタントが多いオランダにおいて、教会、礼拝堂を飾るためのみならず、市民の家庭や市庁舎などを飾る作品が多く描かれました。

ヤン・コシエルス《空のジョッキを持つ酒飲み》制作年不詳
ルーメン・ポルテンヘン《占い師》制作年不詳
<肖像画>

19世紀から20世紀にかけて描かれた肖像画は、王侯貴族、高位の聖職者、富裕な市民など、一部のブルジョワたちの注文によって描かれました。いわゆる似顔絵ではなく、自分や家族を記念し、自らの社会的地位、富、家柄、教養などを描いてもらう一種のステータス・シンボルでもあったのです。本章で紹介するのは、中流階級以上の女性たちの肖像画です。19世紀後半には、印象派などの新たな絵画表現が生まれていましたが、当時のブルジョワ社会で認知され、人気を博したのはこうした肖像の数々でした。

チャールズ・ゴールズボロ・アンダーソン《クラーク・トラヴァーズ夫人》1900年頃
ジョルジュ・ルフェーブル《青いストッキングをはいた女流詩人》1870年頃
<風景画>

風景画が独立したジャンルとして確立されたのは1600年代のオランダであるといわれています。オランダの画家たちは見慣れた身近な風景を写実的に描きました。風景画とひと口にいっても、その時代や描かれる場所によって画題は変化します。聖書や古代文学作品の中で描写された風景に基づくもの、古代ギリシャ、ローマの文化や自然に対する憧れから生まれたものなど様々です。本章では、身近な風景を描いたオランダ風のものから“古典的風景”の伝統に連なるもの、18世紀イタリアのヴェドゥータ(景観図)などをご覧いただけます。

ロベルト・ナドラー《ヴェネツィア》19世紀末
ジェイムズ・スターク《森の中の風景》1820-30年頃
<風俗画>

ある社会、時代の生活、習わし、職業、行事などの風俗を描いたもので、最も世俗的なジャンルといえるかもしれません。長坂コレクションには、行楽やスポーツ、狩猟、あるいは都会や農村の親しみやすい風俗を描いたものが含まれています。描かれる対象は、華やかな上流社会から貧しい子どもたちにまでおよび、当時の人々がいかに生きたのかがパノラマのように展開され、見る者を飽きさせません。

ニコライ・アンドレヴィッチ・コシェーレフ《脱穀場の子供たち》1882年
ヘンリー・アンドリュース《鷹狩》1830年頃

本展で披露される長坂コレクションは、長野市にある長坂バロック株式会社の会長・長坂剛さんが長年にわたって17世紀~19世紀の西洋絵画作品を収集したものです。その特徴は、絵画史に残る巨匠の周辺で活動していた画家による“王道”の作品多く含まれることで、それらはいずれも時代の雰囲気や好みをよく伝えています。作品を通してヨーロッパへの旅気分を味わったり、あるいは、意外な“掘り出し物”作家と出会ったり、初心者から長年のファンまで幅広く楽しめる展覧会となっています。(美術展ナビ)

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