バレエ団の冬休みに入り、ふたりは結婚式の準備を本格的にスタート。ルーカスの故郷ノルウェーでの挙式を希望し、彼の両親の協力を得ながらオスロのさまざまな会場を巡った。そして最終的に選んだのは、オスロ最古の教会・オールド・アカー教会だった。
挙式会場を決めたふたりは、披露宴会場もいくつか見て回るつもりだったが、その必要はなかった。「最初の候補に足を踏み入れた瞬間に“ここだ”と直感しました」と万璃子は話す。直感で選んだその会場は、オスロ中心部にある歴史的なアーケシュフース城内のホイマガジン。ノルウェー軍の本拠地でもあるその場所は、広々とした空間に素朴さと上品さが同居する理想的な会場だったという。「婚約と同じように、迷いのない決断でした」とふたりは笑う。

Photo: Oleg Seveljov
ドレス選びもまた、運命的な瞬間の連続だった。「ブライズメイドのひとりも結婚を控えていたので、一緒にショッピングデーを設けたんです」と万璃子。最初はタイトなマーメイドラインを想定していたが、最終的に選ばれたのはブライズメイドの提案によるもの。繊細な花のアップリケとボリュームのあるトレーンが印象的な、ストラップレスのホワイトドレスだった。「まるでドレスのほうから私を選んでくれたようでした」
一方のルーカスもまた、直感に導かれるように衣装を決めた。「夏のウエディングなので明るい色がいいと思って、最初はクリーム色のスーツを考えていました。でも白いタキシードに袖を通した瞬間、“これだ”と確信したんです。まるでジェームズ・ボンドになったような気分でした」。お互いに装いを秘密にしていたふたりだが、当日見事に調和した姿に歓喜したという。
文化と心がひとつになった夜
Photo: Oleg Seveljov
いよいよ迎えた結婚式当日。ルーカスは感動で胸がいっぱいになった。「夏休みの締めくくりとして、仕事が始まる直前に式を挙げようと計画していました。世界中の友人たちがロンドンへ戻る前にオスロを訪れられるようにと考えたんです。長らく会えていなかった家族や仲間の顔を見た瞬間、胸が熱くなりました」。その想いは、万璃子がバージンロードを歩き出した瞬間に頂点に達した。「彼女の美しさは想像を超えていて、涙をこらえきれませんでした」
