今年のノーベル化学賞を受賞した京都大学の北川進副学長の研究活動を長年支えてきた高知出身の研究者がいます。
今回の受賞や北川さんの人となりなどを聞きました。

10月8日、ノーベル化学賞受賞の一報が入り、会見を開いた京都大学の北川進副学長は、受賞につながった研究活動を振り返り、ある人物の名前をあげました。

■北川進 京都大学副学長
「私の研究室からスタートアップス(企業)のアトミスを作った”樋口さん”というのがいるんですけど、スタートアップスを作ることによって、非常に展望が見えたなと思います」

北川さんが名前をあげた”樋口さん”こと、京都大学高等研究院アイセムスの特定拠点准教授・樋口雅一さんです。
樋口さんは、高知市出身で土佐塾高校を卒業後、京都大学工学部に進学し、北川さんの下で研究活動に20年以上携わってきました。北川さんの受賞を聞いた時の心境は―。

■樋口雅一 特定拠点准教授
「ずっと賞を獲られるという話が10年ぐらい前からあったんで、やっと獲ったという安堵と、ホンマにとったんやという驚きと、感動といいますか、ああという感じが一気に、そういう感情が混ざって来たという感じ」

北川さんの受賞につながった研究活動が「多孔性材料」の開発です。
「多孔性材料」とは、分子サイズの極めて小さな穴を無数に持つ材料のことで、この材料を利用することで温室効果ガスである二酸化炭素だけを取り出し、貯蔵することもでき、地球温暖化の解決につながることが期待されています。

樋口さんは、「多孔性材料」の実用化に向けて2015年に京都大学発のスタートアップ企業「アトミス」を創業しました。この樋口さんの取り組みが今回の受賞につながったといいます。

■樋口雅一 特定拠点准教授
「ノーベル化学賞って、実用化されているかどうかというのが一つの受賞のポイントだとも聞きますね。アトミスという私が創業した会社を通して、社会実装にいろいろと向けて、すでに成果がある。(多孔性材料が)世の中で、使う事ができたというのが、非常に良かった点かなと思う」

北川さんは、研究者や学生と分け隔てなく接する人だといいます。

■樋口雅一 特定拠点准教授
「すごく柔和な、温厚な、相手を立てる、すごく優しい方。高圧的なところがまったくない。本当に4回生とも対等に議論をしますし、”君がどう考えるんや”という問いかけで、研究のディスカッションが始まったりするんで、”僕はこう思う”とか”こうやろ”とか、”こういうことせえ”とかは、一度も聞いたことがない。傍らで、いろいろと関わらせていただいている私としては、健康でいつまでも研究を楽しむような身体でいてほしいなと思います」

樋口さんは引き続き多孔性材料の普及を進めて、北川さんの研究を支えていくということです。

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