こうちeyeではシリーズで「県展特選ギャラリー」と題して第79回県展の入賞作品や見どころを特集でお伝えしています。

3回目は先端美術部門です。

高知県内最大の芸術の祭典「県展」は79回目を迎えました。
2025年は8つの部門に1378人から2605点の応募があり、このうち1026点が入選以上となっています。県立美術館では洋画・日本画・先端美術の3部門、高知市文化プラザかるぽーとでは彫刻、工芸、書道、写真、グラフィックデザインの5部門の入賞作品を展示しています。

このうち先端美術部門には46人が48点を出品し、会場の高知県立美術館には特選など34作品と無鑑査などの4作品が展示されています。

先端美術とは従来ある芸術のジャンルを超えて新しい形や概念で創り出す作品のことで、今回も写真を使って立体の鳥を作った作品や紙で巨大な脳を表現した作品など独創性あふれる先端美術作品が集まりました。

先端美術について県展無鑑査の都築房子さんに作品を解説してもらいました。

特選に選ばれたのは内川和子さんの「ガーデン」です。

今回が3度目の特選受賞で無鑑査となりました。

屋外に並べられた椅子と鏡。そこには内川さんが一貫して取り組んできたテーマ「生と死」が交わる場所が表現されています。
テーマとなった「生と死」、それを表現する「椅子」について次のように考えられるのではないかといいます。

■先端美術 県展無鑑査 都築房子さん
「やっぱり自分の場所じゃないんですか、居場所って言ってもいいんですけど、自分が存在する位置とか、どこに自分が存在しているんだろうとか見る方が思って。個人的な問題だし、だけど誰もがこれから通る道。そういうことをずっと静かなトーンで、ご本人も静かな方なんですけど、ご自身のテーマをずっと持ち続けて、長くそれをあたためて作品化されているということが評価されたのでは」

続いて将来性あふれる新進作家に贈られる高﨑元尚賞に選ばれたのは小野川ナツコさんの「記憶の中」です。
藍で染められた淡い色の木の葉や玉が吊るされ涼やかさや余白を感じる作品です。

■都築さん
「タイトルにもあるように、ご自身の記憶をたぐって、割と身近な材料とか、身近な出来事小さなことをつなぎあわせてこういう作品にされている。等身大というか、ご本人の無理のない形でセンスをいかして作品につなげられていると思う。見た目の軽さ、それから意識的な軽さ、そういうのにつながっていて、見る人にあまり圧力を与えない 今回わりと圧力のある作品が多いが、その中で非常に爽やかに見えたのではないか」

褒状3点のうち松沢誠二さんの作品は、パレスチナ問題に向き合った意欲作。小さな作品でシンプルな表現だからこそ、そこに込められたメッセージが強く伝わってきます。

■都築さん
「大げさじゃなく、ささやかな自分の身の回りのこととして、これを考えて作品化されているということがよく分かる。人々の日常的な営みが全部ガレキになっていっている。地震とか自然災害じゃない人間の意思によってそういうことが行われていて、そういうものを直視する。スコップはガレキを片付ける道具だし、そこにライトを当てる。最低限言葉を加えて、イスラエルという言葉とか、エジプトという言葉とか。政治的な問題とか、社会的な問題を避けずに自分事だとして表現に持っていくというのは先端美術ならではだと思う」

今回はカラフルで訴えかける力の強い作品が多かった一方で受賞作にはシンプルな色合いが多く小さなサイズの作品にも光が当たったことを嬉しく思うと都築さんは話します。

都築さんの考える先端とは「問題に対する意識が先端であること」年齢や経験を重ねた人にこそ興味を持ってもらいたいと期待を込めました。

第79回県展は10月19日まで開かれていて県立美術館で洋画・日本画・先端美術の作品をかるぽーとでグラフィックデザイン・工芸・写真・彫刻・書道の作品を展示しています。

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