政治危機に陥っているフランスの国債の先行きを巡り、ゴールドマン・サックス・グループとシティグループで見方が分かれている。背景には、新たな選挙実施の可能性が市場価格にどの程度織り込まれているかに対する見解の違いがある。

サイモン・フレイセネ氏らゴールドマン・サックスのストラテジストは、6日のルコルニュ首相の予想外の辞任を受けた国債売りによって、「短期的な選挙リスクは現在の価格でおおむね先取りされている」と指摘する。この動きにより、フランス10年債とドイツ10年債の利回り差(スプレッド)は、今年の最高水準に達した。
一方、シティグループは、選挙リスクの上昇は「ようやくスプレッドに反映され始めた段階に過ぎない」と、より慎重な見方を示している。ストラテジストのアマン・バンサル氏は、現時点の政治リスクプレミアムは約14ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)とみており、8月に記録した20bpには達していない。もし解散総選挙が実施されれば、それを上回る可能性が高いという。
こうした見解の分裂は、ルコルニュ氏の辞任後、フランス債市場を見極める難しさが増していることを示している。この2年で5人目の首相となったルコルニュ氏は、対立する政党双方を納得させる予算草案作りに苦しみ、退陣に追い込まれた。

フランス10年債とドイツ債のスプレッドは年内最高水準に達している
Source: Bloomberg
マクロン大統領は、さらなる深刻な危機を回避する最後の試みとして、ルコルニュ氏に対し、8日夜までに各政党と交渉するよう指示した。合意に失敗した場合に何が起こるかは不明で、マクロン氏が新たな議会選挙を実施する可能性もある。
ゴールドマン・サックスは、独仏10年債スプレッドの年末の見通しを70bpに据え置いているが、「上方リスクがある」としている。現在の約86bpという水準を踏まえると、同社は、今後数カ月でフランス債の価格が回復する可能性を示唆している。フレイセネ氏は、成長率の一段の悪化や財政見通しの悪化が進めば、この見方が揺らぐ恐れがあると述べた。
ルコルニュ氏の辞任により、政府は13日の期限までの予算案提出が厳しくなり、1月の政府閉鎖(シャットダウン)を回避するため、緊急措置を講じる可能性が高まっている。すでにユーロ圏で最大規模となっているフランスの財政赤字を抑制しようとする取り組みは、さらに難しくなる。
原題:Goldman and Citi Split Over French Election Risks for Bonds(抜粋)
